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ショール
「ショール〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
ショールの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
なりましな。寒くとも気分は晴れ晴れしますから。わたしもちょと部屋《へや》に帰って
ショールを取って出て見ます」
こう葉子にいって田川夫人は良人《おっと》と共に自....
「星座」より 著者:有島武郎
すまして茶の間にはいってきた。いつものとおり地味すぎるような被布を着て、こげ茶の
ショールと診察用の器具を包んだ小さい風呂敷包とを、折り曲げた左の肘《ひじ》のとこ....
「機密の魅惑」より 著者:大倉燁子
十分神戸発の急行列車が東京駅に着いて乗客は全部降車したが二等車の中に、パラソルと
ショール、鰐皮のハンドバッグ、小さいスーツケース一個が遺留されて居り、荷物の持主....
「豆腐買い」より 著者:岡本かの子
脈の通っていなそうな所を選んで鷺のように、つつましく踏み立つ。加奈子は辷りかけた
ショールを胸の辺で右手に掴み止め、合せ襟になった花と蔓の模様の間から手套を穿めて....
「秋深き」より 著者:織田作之助
もう直き、汽車が来るよって、いまのうち挨拶させて貰い」 「はい」 女はいきなり
ショールをとって、長ったらしい挨拶を私にした。終ると、男も同じように、糞丁寧な挨....
「青春の逆説」より 著者:織田作之助
いた「オリンピア」の灯も、やがてひとつひとつ消されて行き、ほの暗くなった表口から
ショールにくるまった女給たちがぞろぞろと出て来て、寒い肩をすぼめていた。ひとり毛....
「夫婦善哉」より 著者:織田作之助
じ抱主の所で一つ釜の飯を食っていた金八という芸者だった。出世しているらしいことは
ショール一つにも現われていた。誘われて、戎橋《えびすばし》の丸万でスキ焼をした。....
「城」より 著者:カフカフランツ
なった。
「測量技師さん」と、ガルディーナが次にいった。「戸棚のなかのすぐ手前に
ショールがかかっています。それを取って下さいな。それを身体にかけたいんです。羽根....
「審判」より 著者:カフカフランツ
。やってきたのは、ビュルストナー嬢だった。寒気を覚えながら、扉をしめるとき、絹の
ショールを細い肩に締めつけた。この機を失すれば、彼女は自分の部屋にはいってしまい....
「火の扉」より 著者:岸田国士
うゝん、ちよつと、ついでがあつたで」 その隣で、明らかに連れと思われる少女が、
ショールで顔をかくした。 市ノ瀬牧人は、こつちがそこで不覚にもほおを熱くして、....
「糸くず」より 著者:国木田独歩
。これらの女はみな男よりも小股で早足に歩む、その凋れたまっすぐな体躯を薄い小さな
ショールで飾ってその平たい胸の上でこれをピンで留めている。みんなその頭を固く白い....
「光り合ういのち」より 著者:倉田百三
くようなものだった。 ところが或る日思いがけなくその娘が山久の店へ買物に来た。
ショールを買いに、通い帳を持った女中をつれて。私はびっくりした。店には伯母が出て....
「支倉事件」より 著者:甲賀三郎
と考えを凝した。 窓外では恰度この時春光を浴びながら、透き通るようなうすものゝ
ショールを長々と飜えして、令嬢風の女連が、厳めしい煉瓦造りの建物を黙殺し乍ら歩い....
「雪の夜」より 著者:小林多喜二
二日前ここを通ったのだ。空のはれた寒い晩だった。入口に寄ると、暖簾のところに女が
ショールをして立っていた。入口は薄暗いので顔立ははっきり分らなかったが、色の白い....
「明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
ましたから、よくは分りません。頭はイギリス巻のようなハイカラでしたよ」 肩掛は
ショールともよんだ。今の人には見当もつかないような無骨な流行で、いわば一枚の毛布....