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ビロード
「ビロード〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
ビロードの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「日光小品」より 著者:芥川竜之介
そのゆったりした肩には紅《あか》い光のある靄《もや》がかかって、かっ色の毛きらず
ビロードをたたんだような山の肌《はだ》がいかにも優しい感じを起させる。その上に白....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
いた。
枝に残った枯葉が若芽にせきたてられて、時々かさっと地に落ちた。天鵞絨《
ビロード》のように滑かな空気は動かないままに彼れをいたわるように押包んだ。荒くれ....
「銀座は昔からハイカラな所」より 著者:淡島寒月
中合せに腰掛けるようになっていて梯子は後部の車掌のいる所に附いていました。馭者は
ビロードの服にナポレオン帽を戴いているという始末で、とにかく珍らしくもあり、また....
「醜い家鴨の子」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
大きな庭の中に来てしまいました。林檎の木は今いっぱいの花ざかり、香わしい接骨木は
ビロードの様な芝生の周りを流れる小川の上にその長い緑の枝を垂れています。何もかも....
「魯迅さん」より 著者:内山完造
漢その他の告別の辞があった。私も葬儀委員として話した。式が了ると共に棺の上に黒い
ビロードに白い民族魂という大きな文字の幕がかけられて、棺は墓穴に送られた。埋葬の....
「少年探偵長」より 著者:海野十三
ウーはもういちど、鋭い眼であたりを見廻すと、やがて金庫をさぐって、なかから小さい
ビロードばりの箱を取りだした。そして、金庫をとじ、額をもとどおりにかけおわると、....
「日本脱出記」より 著者:大杉栄
うとすると、中から誰か出て来た。姿は違うが、その歩きかたは確かにWだ。その旧式の
ビロードの服が、人夫か土方の帳つけというように見せるので、よくそう言ってからかわ....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
。 教会には人がいっぱいであった。ヘルマンはようように人垣を分けて行った。柩は
ビロードの天蓋の下の立派な葬龕に安置してあった。そのなかに故伯爵夫人はレースの帽....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
だ銀格子のような高貴な襞襟が、それにつれて揺れるのでした。彼女は赤いオレンジ色の
ビロードのゆるやかな着物をつけていました。貂の皮でふちを取った広い袖からは、光り....
「わが町」より 著者:織田作之助
玄関に立つと、蝶子は、 「そんなら、ここで失礼して着せてもらいます」 と、黒い
ビロードのコートを羽織った。蝶子の幸福がそのコートに現われているように君枝は思い....
「奇巌城」より 著者:菊池寛
れていた。医者は死体にかぶせてあった敷布をとり除けた。家令のドバルは平素着ている
ビロードの服を着、長靴を履いたまま、片手を下にして上向に倒れていた。カラーをとり....
「家なき子」より 著者:楠山正雄
そではなかったが、肩の所に二つ大きな穴をあけて、そこから、もとは録色だったはずの
ビロードのそでをぬっと出していた。ひつじの毛のゲートルをひざまでつけて、それをお....
「家なき子」より 著者:楠山正雄
いる人のように乗りこんだ。カピもいっこうきまり悪そうなふうもなく中へとびこんで、
ビロードのしとねの上にゆうゆうと上がりこんだ。 馬車の道はわずかであった。あま....
「灰だらけ姫」より 著者:楠山正雄
まで、おめかしの話ばかりしていました。 「わたしは、イギリスかざりのついた、赤い
ビロードの着物にしようとおもうのよ。」と、姉はいいました。 「じゃあ、わたしは、....
「血曼陀羅紙帳武士」より 著者:国枝史郎
顳※や頬、そういう輪廓を、黒い焔のような乱髪で縁取り、さながら、般若の能面を、黒
ビロードで額縁したような顔を、ヒタと左門へ差し向けたが、 「おおそれなら、頼母様....