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ペン先
「ペン先〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
ペン先の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「思い出す事など」より 著者:夏目漱石
その時の余は印気《インキ》の切れた万年筆《まんねんふで》の端を撮《つま》んで、
ペン先へ墨の通うように一二度|揮《ふ》るのがすこぶる苦痛であった。実際健康な人が....
「斜陽」より 著者:太宰治
パリ近郊の大地図、直径一尺にちかきセルロイドの独楽、糸よりも細く字の書ける特製の
ペン先、いずれも掘出物のつもりで買った品物ばかりなのだが、番頭笑って、もうおいと....
「新版 放浪記」より 著者:林芙美子
紙の中にいれる事は止めましょう。イサベラ皇后様がコロンブスを見つけた興奮で、私の
ペン先はもうしどろもどろなのだ。ああソロモンの百合の花に、ドブドブと墨汁をなすり....
「日本脱出記」より 著者:大杉栄
・ドニにて捕わる) Le 1 Mai 1923.(一九二三年五月一日) と、
ペン先きで深く壁にほりこんで、その中へインクをつめてやった。 予審へは一度呼び....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
調子で宇津木兵馬を引張り廻すのでもなければ、原稿の回数をひきのばすために、無用の
ペン先を弄《ろう》するわけでもない。 「毫釐《ごうり》有差天地懸隔」の道理が、可....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
とおり活如として私の四囲に進展しつつある。 だから、どうせのことなら私も、この
ペン先に牛の血をつけて、出来るだけ忠実に写生し、織り交ぜ、「あらぶ・すぺいん」風....
「幾度目かの最期」より 著者:久坂葉子
した。十時半の汽車まで、まだ三時間あまりあります。 (小母様、私の愛用の万年筆の
ペン先が折れました。)私と彼は、無言のまま歩きはじめました。北の方へむかって。何....
「文学以前」より 著者:豊島与志雄
この関連が弛むに随って――間接的になるに随って――作品は魂から手先へと、手先から
ペン先へと移ってゆく。 余りに文学が多すぎる。文学の過剰から文学の貧困を来して....
「悲しい誤解」より 著者:豊島与志雄
ある。書記は黙々と謄写している。カーボン紙のインクがにじめば主任に叱られるので、
ペン先きを機械のように動かしている。衝立の向うからは、タイプの音が断続的に聞えて....
「聖女人像」より 著者:豊島与志雄
。時々眉根を寄せて考えこんだが、客に向ってはにやりと笑った。その、さらさらと走る
ペン先と、一枚ずつめくられてゆく原稿紙とを、私は不思議な気持ちで眺めたものだ。こ....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
外にペン軸が交って見える。その横にインキ壺が備えつけてある。朝日が射し込むとその
ペン先が忽ち金色に輝き出す。インキ壺の切子の角が閃光を放つ。机上の左の方には二、....
「次郎物語」より 著者:下村湖人
お浜に出す手紙の上がきを書いた。筆や鉛筆で書くのとちがって非常に書きづらかった。
ペン先に紙がひっかかって、インキが点々と散った。それでも彼は、お浜あての手紙に、....
「次郎物語」より 著者:下村湖人
は、すぐ、机のひきだしから一枚の新しい葉書をとり出して、恭一あての返事を書いた。
ペン先にやけに力がこもった。 「はがき見た。何のことやらわからぬ。沈黙はむろん結....
「暗号数字」より 著者:海野十三
、一体なんであったろうか。それは四六倍判ぐらいの板であって、その上に大きな金色の
ペン先がとりつけてある。察するところ
ペン先の広告看板なのであった。英国の或る有名....
「ペンとインキ」より 著者:土原耕作
ペンとインキ 夢野久作
ペン先がインキにこう言いました。 「お前位イヤなものはない。私がいくら金の衣服を....