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ペン字
「ペン字〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
ペン字の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「少女地獄」より 著者:夢野久作
の中味はありふれた便箋《びんせん》でしたが、文字は擬《まが》いもない姫草ユリ子の
ペン字で、処々汚なくにじんだり、奇妙に震えたりしているのが何となく無気味でした。....
「沈丁花」より 著者:宮本百合子
立ったまま、 「ほら、いい香でしょう」 と、はる子の前へ折り目を拡げた。女らしい
ペン字の上に細かい更紗飾りを撒いたように濃い小豆色の沈丁の花が押されていた。強い....
「舗道」より 著者:宮本百合子
手にもっていた藤色のレターペーパーをミサ子の方へ出した。 鵞堂流にくずした細い
ペン字が紙を埋めている。ミサ子は、書き出しのありふれた時候の挨拶のところはいい加....
「道標」より 著者:宮本百合子
色の鞣手袋をはめた指さきで払うようにした。保の字は例のとおり細く力をぬいたうすい
ペン字で、こまかく粒のそろった字面が、遠いところをもまれて来たハガキの上で毛ばだ....
「ドグラ・マグラ」より 著者:夢野久作
立ち上って覗き込んでみると、それは一枚の官製|端書の裏面で見覚えのある右肩上りの
ペン字が、五六行ほど書きなぐってあった。
面目無い
S先生と酒を飲ん....
「暗黒公使」より 著者:夢野久作
と、それは二枚の名刺で、その中の一枚は、 という一流弁護士のもので、もう一枚は
ペン字で書き込みをした故志村浩太郎氏の名刺であった。 この名刺持参人に御保管の書....
「探偵小説の真使命」より 著者:夢野久作
である。 全世界はまだまだそうした探偵小説の処女地である。何でもない暑中見舞の
ペン字の曲り目から、必死的な殺人の呪いが分析され、新しいハンカチの折目から持主の....
「近世快人伝」より 著者:夢野久作
女文字の手紙ばかりで、金釘流の年増らしいのは母親の筆跡であろう。若い女学生らしい
ペン字は娘の文章らしかった。焼野の雉子夜の鶴……為替の受取なぞがチラチラ混ってい....
「父の手帳」より 著者:宮本百合子
ケッチ帳形の手帳が出て来ました。茶色クローズの表紙で鼠色紙の扉にノート風の細かい
ペン字で、 (1) 大学図書館ヲ公開スル事 (2) 東洋美術発行ノ事 と....
「千世子(三)」より 著者:宮本百合子
それを見つめて居た。 白鳩を呉れると云ってよこした友達に斯んな返事を、不器用な
ペン字で書いてやった。 小供っぽい私はほんとうに喜こんで居ますよ。 可哀い....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
が、どうかしら。色は軽くていや味でもないでしょう? ペンで表かいたり中から細かく
ペン字のつまったのが出るのは似合わないようですが、私が筆で巻紙で、大きい字さらさ....
「田舎者」より 著者:豊島与志雄
ずれまたお目にかかることもあると存じますが、御身体を大切になさいませ。――とただ
ペン字でそれだけで、所番地もなくTとだけしてあった。岸本はそれを上衣の内隠しにし....
「縮図帖」より 著者:上村松園
それだけうまくなるわけで、鉛筆でするよりは修業になるのではなかろうかと思われる。
ペン字をかいている人が毛筆に拙ないのと同じように――。 現在手許にある私の縮図....
「旅役者の妻より」より 著者:矢田津世子
というもの、仕方なく一時の融通かたをたよりで頼むと、大方どこぞよりきた手紙らしい
ペン字で書いた罫紙の裏へ筆太に書かれた返事には、お民がいない今は貴方と自分とは何....