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一つ覚え
「一つ覚え〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
一つ覚えの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「水の三日」より 著者:芥川竜之介
。残念なことに、どの部屋で、どんな人がどんなことをしていたか忘れてしまったがただ
一つ覚えているのは、五年の丙組の教室へはいった時だったと思う。薄暗いすみっこに、....
「保吉の手帳から」より 著者:芥川竜之介
ことは度たびあった。保吉は氏とどんな話をしたか、ほとんど記憶に残っていない。ただ
一つ覚えているのは、待合室の煖炉《だんろ》の前に汽車を待っていた時のことである。....
「蘭学事始」より 著者:菊池寛
、踵などについている符号を、文章の中に探した。そして、眉、口、唇などの言葉を一つ
一つ覚えていった。 が、そうした単語だけはわかっても、前後の文句は、彼らの乏し....
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
ぞ変わったところ、目にとまった覚えござらぬか」 「さようのう……いや、あるある、
一つ覚えがござるわい。駕籠の肩棒が並みよりも少々太めで、きりきり白布で巻いてござ....
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
いてるんだよ」 「くやしいね」 「あきれたな。知らねえのかい。そういうのがバカの
一つ覚えというやつさ。定額寺《じょうがくじ》といってね、お上からお許しがなくっち....
「世相」より 著者:織田作之助
傷つくことから守ろうとする走馬燈のような時の場所のめまぐるしい変化だけが、阿呆の
一つ覚えの覘《ねら》いであった。だから世相を書くといいながら、私はただ世相をだし....
「私の母」より 著者:堺利彦
いた。 父と母とが面白くない(と言うよりはむしろ滑稽な)言い争いをしていたのを
一つ覚えている。母も煙草が好きで、よく長煙管《ながぎせる》でスパスパやっていたが....
「自叙伝」より 著者:大杉栄
せる。」 僕は腕を扼して自分で自分にそう誓った。 やはりこの教頭の話で、もう
一つ覚えていることがある。それは、遼東半島還附の勅語の中の、「報復」という言葉の....
「猿飛佐助」より 著者:織田作之助
術……が、しかし何故か思うに任せず、金縛りにかかったようになりながら、ただ阿呆の
一つ覚えのように、 「名を名乗れ! 名を名乗れ!」 と、わめいていると、いきな....
「探偵小説を截る」より 著者:坂口安吾
るが、その他の亜流の作品には必然性というものはない。いつか形式ができ、その馬鹿の
一つ覚えというほかに一切の取り柄がないのである。 ヴァン・ダインとなると、この....
「わが戦争に対処せる工夫の数々」より 著者:坂口安吾
本海へとびこみ、この海で、又、砂浜で、身体をねり運動神経を発達させたので、馬鹿の
一つ覚えといふからそれから二十何年もすぎたこの期に及んでも身体の訓練といふことを....
「明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
音をおききになりませんでしたか」 「疲れてグッスリねましたので、目がさめるまで何
一つ覚えがありません」 これも亦荒ぶる神の親類筋のようなすさまじさ。神経が太い....
「生活と一枚の宗教」より 著者:倉田百三
|参玄洞という人がありますが、私が「恥以上」というものを書きましたときに、ばかの
一つ覚えとか、旧思想をもっているというた。なぜかというと、受け取ることだけをいっ....
「月と海豹」より 著者:小川未明
したり、さらわれたり、殺されたり、そのような悲しい事柄が、そこここにあって、一つ
一つ覚えてはいられなかったからでした。 「この北海の上ばかりでも、幾疋の子供をな....
「わが町」より 著者:織田作之助
ぐさも、何か名人芸めいて来た。散髪屋の娘はもう三十二才で、嫁に行かなかった。年中
一つ覚えの「石童丸」の筑前琵琶を弾いていた。散髪に来る客の気を惹くためにそうして....