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「一つ買い〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

一つ買いの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
あらくれ」より 著者:徳田秋声
めに、家のなかではどんな用事にも働いたが、昼間外へ出ることとなると、釦《ボタン》一つ買いにすら行けなかった。点呼にも彼は居所を晦《くら》ましていて出て行く機会を....
世相」より 著者:織田作之助
りの道といってもどこへ帰ればよいのか。大阪駅以外にはない。残っていた五円で焼餅を一つ買い、それで今日一日の腹を持たすことにした。駅の近所でブラブラして時間をつぶ....
新釈諸国噺」より 著者:太宰治
の永生きと皆々三文出して二つ買うのを、あるじの分別はさすがに非凡で、二文を出して一つ買い、これを食べて七十五日の永生きを願って、あとの一文にて、茄子の出盛りを待....
風船美人」より 著者:渡辺温
の方へ見物旅行に出かけるつもりだったので、M百貨店へ行って買物をして序に双眼鏡を一つ買いました。そして、その買いたての双眼鏡をもって、私はM百貨店の屋上から初覗....
艸木虫魚」より 著者:薄田泣菫
顔立も、服装も、見るから地味な婦人だった。氏は急に考をかえて、その婦人から花束を一つ買い取った。 「あなた、なぜ私のを買って下さらないの。」 女優はわざとぷり....
戦時旅行鞄」より 著者:海野十三
発準備であった。私たちが旅行するときには、デパートへいってファイバーのトランクを一つ買い、あとはテンセンストアで、一つ十銭の歯ブラッシや雲脂取り香水や時間表や蚤....
悪獣篇」より 著者:泉鏡花
金色に目の光る嫗とより、銑太郎は他に答うる術を知らなかった。 ただその、早附木一つ買い取るのに、半時ばかり経った仔細が知れて、疑はさらりとなくなったばかりであ....
百姓弥之助の話」より 著者:中里介山
ろはない。 津軽の産物だといって、じゃがいもパンの試食をさせられ、十銭の包みを一つ買い込んだ、あとで食べて見たら相当に風味がよかった。 ジャガ芋《いも》とい....
お父さん」より 著者:林芙美子
円八十銭の卵を二つ買いました。それから、うなぎのきもを一皿買いました。キャベツも一つ買いました。 僕たちにはいわしだの、干にしんを買いました。 「おとうさん、....
丹下左膳」より 著者:林不忘
ている継《つ》ぎはぎだらけの黄八丈の袖をトンと引っ張って、「恥ずかしくってお豆腐一つ買いに出られやしない。あたし、呉服屋のまえを通るときなんか、眼をおさえて駈け....
ペンネンネンネンネン・ネネムの伝記」より 著者:宮沢賢治
出口に小さな雑貨商がありましたので、ネネムは店にはいって、まっ黒な上着とズボンを一つ買いました。それから急いでそれを着ながら考えました。 「何か学問をして書記に....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
には憤然として拒絶した仕事を――ある富裕《ふゆう》な匿名の好事家があって、楽曲を一つ買い取って自分の名前で発表したいというのを、その仲介者がクリストフのところに....
明日」より 著者:井上紅梅
れを咸亨の番頭さんに渡し、番頭さんが引受人になって、なかば現金、なかば掛で棺桶を一つ買い取ることにした。藍皮阿五は横合いから手を出して「そんなことは一切|乃公に....
食道楽」より 著者:村井弦斎
じょうか》は一週間に一度必ず食べると極《き》めているそうです。犢《こうし》の頭を一つ買いますと切り別けて脳味噌と舌と顔の厚皮の美味い肉が取れますから大層徳用です....
耳香水」より 著者:大倉燁子
ク販売(本日大割引) ○午後十二時限り(会員はこの限りに非ず) 私はマスクを一つ買いました。見るとK夫人もちゃんとマスクを掛けていて、しかもその上に色眼鏡ま....