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「一にも二にも〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

一にも二にもの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
のんきな患者」より 著者:梶井基次郎
、また脅《おびや》かすように力強い声でじっと吉田の顔を覗き込んだのだった。吉田は一にも二にも自分が「その病気」に見込まれているのが不愉快ではあったが、 「いった....
母子叙情」より 著者:岡本かの子
す。派手な童女型と寂しい母の顔の交った顔である。むす子が青年期に達した二三年来、一にも二にもむす子を通して世の中を眺めて来た母の顔である。かの女は、向側の窓硝子....
老中の眼鏡」より 著者:佐々木味津三
には、安藤対馬の命ごとき一|毛じゃ。攘夷を唱うる者共の言もまた対馬には片腹痛い。一にも二にも異人を懼れて、外船と交易致さば神州を危うくするものじゃと愚かも甚しい....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
うしても久助さんに行ってもらわねば……先日は、かりそめに邪魔にした久助を、今は、一にも二にも恃《たの》む心になったのも勝手なものだが、その恃みきった久助さんとて....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
かしたのはいいが、その出所に就いて一応吟味しなかったというのは不覚でありました。一にも二にもお角さんのきっぷに信頼してしまって、あの女なら、場合によって百や二百....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
からない。 船の乗組は、船の針路に対して、盲従というよりは無知識でありまして、一にも二にも駒井船長を信頼しているのですが、その絶対的信頼を置かれる駒井船長その....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
、おれは勇が孝行によって、この通り何千石の旗本も及ばぬ楽隠居の身分に暮している、一にも二にも悴《せがれ》のおかげだと言って喜んでいるのが江戸では評判で、それを見....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
われたことが、竜之助にとって思い設けぬ暗示となりました。女もまた、そう言われて、一にも二にもこの人を頼る気になったらしい。 頼ってみるとその人は、意外にも盲目....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
ちゅうちょ》しないわけにはゆかないはずです。 徳川の天下になってから、石田は、一にも二にも悪人にされてしまっているが、明治の世になって、小栗の名の謳《うた》わ....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
リーヌは彼らよりいっそうまっ正直であって、生一本《きいっぽん》な行動をしていた。一にも二にも真面目《まじめ》であり、常住不断に真面目だった。真面目ということもま....
生前身後の事」より 著者:中里介山
位内心悲憤していたかということも想像出来るし、その悲憤に対して何も知らぬファンが一にも二にも彼に同情するの余り、我輩を悪《あし》ざまにした、我輩の蒙《こうむ》っ....
婦人と職業」より 著者:倉田百三
えるべきものではない。この意味においては、われわれは蘇露のコロンタイ女史の如く、一にも二にも託児所主義であって、男子も婦人も家庭外に出て働くのが理想的であるとい....
あるニュウ・フェイスへの手紙」より 著者:岸田国士
校、社会を通じて、それを与える人がいくたりかいるというわけのものではありません。一にも二にも、それは、生活環境であり、雰囲気であり、自己の訓練です。 近頃の大....
巷説享保図絵」より 著者:林不忘
すけれど、さいわい兄が万事に眼を届かせてくれますので、どうやら――」 お駒は、一にも二にも磯五を兄々と立てて、すっかりその妹になりすましている。 ふと、おせ....
ヒウザン会とパンの会」より 著者:高村光太郎
かの雲をわれは好むと書きをへしボードレールが酔ひざめの顔 などという歌が出来た。一にも二にもお梅さんだから、お梅さんが他の客のところへ長く行っていたりすると、ヤ....