一人占め[語句情報] » 一人占め

「一人占め〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

一人占めの前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
白髪小僧」より 著者:杉山萠円
は出来ない。そうしなければあの夢のために自分に向いて来た幸福《しあわせ》を、自分一人占めにする事は出来ないのだと、恐ろしい覚悟を定《き》めてしまいました。けれど....
街頭から見た新東京の裏面」より 著者:杉山萠円
金を儲けるのが不都合だ……大方泥棒でもしたんだろう……元来金というものはソンナに一人占めにすべきものではないのだ……ソレを自分の物のように心得て、事もあろうに芝....
天主閣の音」より 著者:国枝史郎
「お若えの、お若えの」老人の声は尚つづいた。「天主で聞える唸り声! 止すがいい、一人占めはな!」 「む」と香具師は息を詰めた。 途端に写っていた鏡面の、老人の....
安重根」より 著者:谷譲次
あんまり嬉しいんで、つい――。同志の方があんなに大騒ぎしている安さんを、あたし、一人占めにしているんだわね。なんだかすまないような気がするわ。 安重根 (自嘲的....
八ヶ嶽の魔神」より 著者:国枝史郎
々かんぐるがいい。今にアッと云わせてやらあ」 「まあそう云わずと聞かせてくんな、一人占めは阿漕でやす」 「へ、またお決まりの芝居もどきか。うん一人占めと云われち....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
ら、この深夜には誰《たれ》憚《はばか》るものもない、千金にも替え難き都の春の夜を一人占めにして歩いているようなものです。 京都に来ても兵馬は、ワザと罪なき人を....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
起して見せてあげたいが、そうしない方がよい。慾ばりのようだが、これだけは、わたし一人占めにして、誰にも見せないことにしておきましょう。 先日も、このことで、弁....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
くあって、臭いところから這《は》い出したこの野郎は、お角親方の特別借切りの一室を一人占めにして、すっかり納まり込み、長火鉢の前で、長煙管でパクリパクリ、そうして....
明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
く廊下の外へケシ飛んで、恨めしげに起き上り、 「よくもやったな。いつまでも貴様の一人占めにさせておくものか。オレにも覚悟がある。覚えていろ」 捨てゼリフを残し....
血ぬられた懐刀」より 著者:国枝史郎
で、ご愛妾の一人が死んだ。お前も知って居る京極のお方だ。今日まで殿下のご寵愛を、一人占めにして占めていられた方だ、そのお方が懐刀で自害された。お紅の懐中から転び....
水垢を凝視す」より 著者:佐藤垢石
らば、必ずその附近に鮎がいるものと思っていい。釣人がこんな場所を発見すれば、鮎を一人占めに釣ることが出来る。 川が濁っても鮎は釣れる。川へ膝まで入って、足の甲....
平賀源内捕物帳」より 著者:久生十蘭
になりかけているのを気の毒に思って連れ帰って下僕《しもべ》にした。この世の実直を一人占めしたような老僕の福介。こちらは足拵《あしごしらえ》もまめまめしく、大きな....
橋の上」より 著者:犬田卯
ないのだった。 さぶちゃんの家は村の素封家だった。K川に添った田や畑の大部分を一人占めにしているほどの物持ちで、さぶちゃんはその村田家の次男だった。三年ほど、....
南半球五万哩」より 著者:井上円了
艇翩翩。 (五層の楼の上から一望すれば果てはなく、広東全市の風と月の鑑賞の権利を一人占めにした思いである。広州の路は碁盤のように区画されて家が立ちならび、珠江に....