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一倍
「一倍〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
一倍の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
うが、また一つには彼の性情が、どちらかと云うと唯物的な当時の風潮とは正反対に、人
一倍純粋な理想的傾向を帯びていたので、自然と孤独に甘んじるような境涯に置かれてし....
「彼」より 著者:芥川竜之介
せた後《のち》、度たびこの二階へ遊びに行った。すると彼は硝子《ガラス》窓の下に人
一倍細い頸《くび》を曲げながら、いつもトランプの運だめしをしていた。そのまた彼の....
「古千屋」より 著者:芥川竜之介
それは実際直孝には疑う余地などのないことだった。しかし家康はいつの間《ま》にか人
一倍大きい目をしたまま、何か敵勢にでも向い合ったようにこう堂々と返事をした。――....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
て忘れるもんかな。」
「じゃそうして頂戴よ。」
お絹は昨日《きのう》よりもまた
一倍、血色の悪い顔を挙げて、ちょいと洋一の挨拶《あいさつ》に答えた。それから多少....
「忠義」より 著者:芥川竜之介
いる。が、誰も己の苦しみを察してくれるものがない。」――そう思う事が、既に彼には
一倍の苦痛であった。
修理の神経衰弱は、この周囲の無理解のために、一層昂進の度....
「運」より 著者:芥川竜之介
い》に、慌《あわただ》しくどこかへ出て参りました。その後《あと》の淋しさは、また
一倍でございます。いくら利発者でも、こうなると、さすがに心細くなるのでございまし....
「或る女」より 著者:有島武郎
事務長の笑い声がまた聞こえて来た。そして医務室の戸をさっとあけたらしく、声が急に
一倍大きくなって、
「Devil take it! No tame creatu....
「或る女」より 著者:有島武郎
れどもね、あなたが木村のいちばん大切な親友でいらっしゃると思えばこそ、わたしは人
一倍あなたをたよりにしてきょうもわざわざこんな所まで御迷惑を願ったりして、……で....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
さあ、こちらへ。さあ、」 口早に促されて、急いで上る、主税は明い外から入って、
一倍暗い式台に、高足を踏んで、ドンと板戸に打附るのも、菅子は心づかぬまで、いそい....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
れも、雪鞋も、等しく老いる。一片の雲のたたずまいにも、自然のもくろみと予言とを人
一倍鋭敏に見て取る漁夫たちの目には、朝夕の空の模様が春めいて来た事をまざまざと思....
「三つの窓」より 著者:芥川竜之介
した。それは彼の小鼠を一匹、――しかも五体の整った小鼠を一匹とったためだった。人
一倍体の逞しいSは珍しい日の光を浴びたまま、幅の狭い舷梯を下って行った。すると仲....
「親子」より 著者:有島武郎
ち着いてしんみりしてきた。 「俺しは元来金のことにかけては不得手至極なほうで、人
一倍に苦心をせにゃ人並みの考えが浮かんで来ん。お前たちから見たら、この年をしなが....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
)と咳を太くして、大な手で、灰吹を持上げたのが見えて、離れて煙管が映る。――もう
一倍、その時図体が拡がったのは、袖を開いたらしい。此奴、寝ん寝子の広袖を着ている....
「燕と王子」より 著者:有島武郎
いましたが、 「これだ、これだ、この玉だ。ああ私はもう結婚ができる。結婚をして人
一倍の忠義ができる。神様のおめぐみ、ありがたいかたじけない。この玉をみつけた上は....
「歯車」より 著者:芥川竜之介
。僕等は火鉢に手をかざしながら、いろいろのことを話し合った。体の逞しい姉の夫は人
一倍|痩せ細った僕を本能的に軽蔑していた。のみならず僕の作品の不道徳であることを....