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「一円〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

一円の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
大導寺信輔の半生」より 著者:芥川竜之介
十分ばかり立った後、彼は古本屋の女主人にもう「ツアラトストラ」を示していた。 「一円六十銭、――御愛嬌《ごあいきょう》に一円五十銭にして置きましょう。」 信輔....
子供の病気」より 著者:芥川竜之介
る昨日《きのう》の青年も面会に来た。青年は玄関に立ったまま、昨日貰った二冊の本は一円二十銭にしかならなかったから、もう四五円くれないかと云う掛け合いをはじめた。....
女体」より 著者:芥川竜之介
るかと思うほど、うす赤い柘榴《ざくろ》の実の形を造っているが、そこを除いては、山一円、どこを見ても白くない所はない。その白さがまた、凝脂《ぎょうし》のような柔ら....
」より 著者:芥川竜之介
ましろ》の国、近江《おうみ》の国、丹波《たんば》の国のあたりまでも、もうこの噂が一円《いちえん》にひろまっているのでございましょう。つまり奈良の老若《ろうにゃく....
星座」より 著者:有島武郎
は懐中を探《さぐ》って蟇口《がまぐち》を取りだした。そしてその中からありったけの一円五十銭だけ、大小の銀貨を取りまぜて掴みだした。 「もっともこれだけはあるんだ....
高野聖」より 著者:泉鏡花
こはその以前医者の家であったというたが、その家の嬢様じゃ。 何でも飛騨《ひだ》一円当時変ったことも珍らしいこともなかったが、ただ取り出《い》でていう不思議はこ....
国貞えがく」より 著者:泉鏡花
の四冊の、しかも古本と代ったのである。 平吉はいきり出した。何んにも言うなで、一円出した。 「織坊《おりぼう》、母様《おっかさん》の記念《かたみ》だ。お祖母《....
婦系図」より 著者:泉鏡花
、夫人が肩を擦寄せると、早瀬は後へ開いて、夫人の肩越に婆さんを見て、 「それとも一円に幾干だね、それから聞いて屋賃の処を。」 「もう、私は、」と堪りかねたか、早....
追憶」より 著者:芥川竜之介
験場を出るが早いか、そんなことはけろりと忘れていた。 四一 金 僕は一円の金を貰い、本屋へ本を買いに出かけると、なぜか一円の本を買ったことはなかった....
半島一奇抄」より 著者:泉鏡花
事を聞きます。この道が開けません、つい以前の事ですが。……お待ち下さい……この浦一円は鰯の漁場で、秋十月の半ばからは袋網というのを曳きます、大漁となると、大袈裟....
化銀杏」より 著者:泉鏡花
化銀杏 泉鏡花 貸したる二階は二間にして六畳と四畳半、別に五畳余りの物置ありて、月一円の極なり。家主は下の中の間の六畳と、奥の五畳との二間に住居いて、店は八畳ばか....
琵琶伝」より 著者:泉鏡花
いて、ともに近郊に散策しつ。 小高き丘に上りしほどに、ふと足下に平地ありて広袤一円十町余、その一端には新しき十字架ありて建てるを見たり。 お通は見る眼も浅ま....
黒百合」より 著者:泉鏡花
しもの。流れ渡りの旅商人が、因縁は知らずここへ茣蓙を広げたらしい。もっとも総曲輪一円は、露店も各自に持場が極って、駈出しには割込めないから、この空地へ持って来た....
明治十年前後」より 著者:淡島寒月
ことのようであるが、浮世草紙の類は、一万巻は読んでいると思う。この頃『一代男』を一円で買ったものであるが、今日でも千円はしている。思えば私は安く学問をしたもので....
三枚続」より 著者:泉鏡花
…床屋の妹というのはちょいと娘柄は佳うございましたけれど、左の頬辺に痣があって第一円顔なんで。」 「よく演劇でしたり、画に描いたりするのは腰から下が霧のようにな....