一再[語句情報] »
一再
「一再〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
一再の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「十円札」より 著者:芥川竜之介
下さい。」
保吉は大いに狼狽《ろうばい》した。ロックフェラアに金を借りることは
一再《いっさい》ならず空想している。しかし粟野さんに金を借りることはまだ夢にも見....
「毛利先生」より 著者:芥川竜之介
きょう》その刻薄《こくはく》な響を想起すると、思わず耳を蔽《おお》いたくなる事は
一再《いっさい》でない。
それでもなお毛利先生は、休憩時間の喇叭《らっぱ》が鳴....
「路上」より 著者:芥川竜之介
々の精神病者の実例として、ニイチェ、モオパッサン、ボオドレエルなどと云う名前が、
一再ならず引き出されて来た。
初子は熱心にその説明を聞いていた。辰子も――これ....
「忠義」より 著者:芥川竜之介
い。彼は、事毎《ことごと》に興奮した。隣屋敷まで聞えそうな声で、わめき立てた事も
一再ではない。刀架《かたなかけ》の刀に手のかかった事も、度々ある。そう云う時の彼....
「温情の裕かな夏目さん」より 著者:内田魯庵
れたことを好く快諾する人だったと思う。随分いやな頼まれごとでも快く承諾されたのは
一再でない。或る時などは、私は万年筆のことを書いて下さいと頼んだ。若い元気の好い....
「とむらい機関車」より 著者:大阪圭吉
いよ」などと、それはそれはまるで触ると毀れるものの様にオドオドした可愛がり様を、
一再ならず私は見せつけられたものです。…… ま、それはさておき、とにかくそんな....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
のだ。すぐに通せ、叮嚀にな」 「では殿にはご存じで?」 「京師室町将軍家の館で、
一再ならずお目にかかった仁だ」 「は、何人でございましょうか?」 「誰でもよい、....
「神秘昆虫館」より 著者:国枝史郎
」 「ええとところで桔梗様の方でも、私を愛しておりますので」 「それもあなたから
一再ならず、承わった筈でございますよ」 「で、桔梗様が目付かったとすると、どうい....
「生死卍巴」より 著者:国枝史郎
だし長崎におった頃、茅野雄は蘭人の口を通して、カリフという言葉と言葉の意味とを、
一再ならず耳にはした。マホメットという人物を宗祖として、近東|亜剌比亜の沙漠の国....
「十二神貝十郎手柄話」より 著者:国枝史郎
合っていた。で今年もやって来たのさ。そうして大野の潮湯治場の、丸田屋の夏別荘へも
一再ならず、客としてこれまでも来たことがある。で、今年もやって来たのさ。 「私な....
「沙漠の古都」より 著者:国枝史郎
から、誰が入れるのか解らないが、私の服のポケットへは女文字で記した仏蘭西語の紙が
一再ならずはいっていた。最初の紙にはこう書いてあった。 同じ東洋人なる支那の貴....
「道」より 著者:織田作之助
うらぶれた日日を送っていたのである。 佐伯が死んだという噂が東京の本郷あたりで
一再ならず立ち、それが大阪にいる私の耳にまで伝わってきたのは、その頃のことだ。本....
「エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
ニオをなんとかしてこの世から葬りたいものだと、このうえもなく神経質になっていた。
一再ならず、アントニオ暗殺の計画が、ブリュッセルとエスキュリアル(スペイン王宮)....
「大利根の大物釣」より 著者:石井研堂
に延し、其の勢いの暴き、綸はびんびん鳴りて、切るるか切るるかと、胸を冷せしことを
一再のみならず。漁史綸を出しながら小声に、『何だって、馬鹿に強いよ。』と言えば、....
「秋の鬼怒沼 」より 著者:木暮理太郎
けた手にくしゃくしゃになった地図を拡げ、磁石を按じて松本君と行先を相談したことも
一再ではなかった。斯くて二時間あまり小休もせず歩いて、稍平な場所に出た。最早鬼怒....