一分[語句情報] »
一分
「一分〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
一分の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「犬と笛」より 著者:芥川竜之介
いてふり返えると、あの狡猾《こうかつ》な土蜘蛛は、いつどうしたのか、大きな岩で、
一分の隙《すき》もないように、外から洞穴の入口をぴったりふさいでしまいました。お....
「影」より 著者:芥川竜之介
だい》の上へも、誰かが静に上《あが》ったようであった。
もしこんな状態が、もう
一分続いたなら、陳は戸の前に立ちすくんだまま、失心してしまったかも知れなかった。....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
》を埋《うず》めたなり、考え深そうに慎太郎を見た。
「戸沢さんがいた時より、また
一分《いちぶ》下ったんだわね。」
三人はしばらく黙っていた。するとそのひっそり....
「羅生門」より 著者:芥川竜之介
と云っては、語弊《ごへい》があるかも知れない。むしろ、あらゆる悪に対する反感が、
一分毎に強さを増して来たのである。この時、誰かがこの下人に、さっき門の下でこの男....
「或恋愛小説」より 著者:芥川竜之介
の前へ浮かび上った金色《こんじき》の誘惑を感じはじめる。もう五分、――いや、もう
一分たちさえすれば、妙子は達雄の腕《かいな》の中へ体を投げていたかも知れません。....
「寒さ」より 著者:芥川竜之介
た伝熱作用のことを思い出した。血の中に宿っている生命の熱は宮本の教えた法則通り、
一分一厘の狂いもなしに刻薄《こくはく》に線路へ伝わっている。そのまた生命は誰ので....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
片膝を少しずつ擡《もた》げ出したからであった。岩は彼が身を起すと共に、一寸ずつ、
一分《いちぶ》ずつ、じりじり砂を離れて行った。そうして再び彼等の間から一種のどよ....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
ん。その内に鏡はお敏の視線を吸いよせるように、益々怪しげな光を放って、一寸ずつ、
一分ずつ、宿命よりも気味悪く、だんだんこちらへ近づいて来ました。おまけにあの青ん....
「小さき者へ」より 著者:有島武郎
かり握る役目をした。陣痛が起る度毎《たびごと》に産婆は叱るように産婦を励まして、
一分も早く産を終らせようとした。然し暫《しばら》くの苦痛の後に、産婦はすぐ又深い....
「星座」より 著者:有島武郎
ないようににこにこしながら「どうぞ」といった。
茶なんぞ飲むよりもおぬいさんと
一分でも長く向い合っていたかった。茶はいらないというと、せっかく茶器を取りだしか....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
を僥倖しなければならない運命にあるのだろう。なぜ彼らはそんな境遇――死ぬ瞬間まで
一分の隙を見せずに身構えていなければならないような境遇にいながら、なぜ生きようと....
「追憶」より 著者:芥川竜之介
の上へ来たことは一度もなかった。僕は母や伯母などが濁り水の中に二尺指しを立てて、
一分殖えたの二分殖えたのと騒いでいたのを覚えている。それから夜は目を覚ますと、絶....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
ものを社会が全然欠いているとは思われない。何故ならば、私自身が社会を組立てている
一分子であるのは間違いのないことだから。私の欲するところは社会の欲するところであ....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
愛、神の遠大なる意志の直接の行使者となるのである。此等の行使者があるから、そこに
一分一厘の誤差も生じないのである。神は一切の中心であっても、決して直接の行動者で....
「アグニの神」より 著者:芥川竜之介
なら約束通り、一思いに命をとってやるぞ」 婆さんはナイフを振り上げました。もう
一分間遅れても、妙子の命はなくなります。遠藤は咄嗟に身を起すと、錠のかかった入口....