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一切れ
「一切れ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
一切れの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「外套」より 著者:ゴーゴリニコライ
家へ帰ると早速、食卓につき、大急ぎでおきまりのシチューをすすり、たまねぎを添えた
一切れの牛肉をたいらげるが、味加減などには一切無頓着で、蠅であろうが何であろうが....
「義民甚兵衛」より 著者:菊池寛
台所へ入り、鍋の蓋を開けて見て)あの阿呆め! 三切れも、食いやがった。われらに、
一切れずつやろう思っていたら、当らんようになったぞ。 (兄弟三人、台所に腰をかけ....
「海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
風呂敷包を背負って帰った。さぞ腹が減ることと同情したが、何の風情もない。わずかに
一切れの手製パンに、先日岡東より貰った小岩井のバターをつけ、砂糖なしの紅茶を出し....
「写生紀行」より 著者:寺田寅彦
やっぱりそこまで行かなければつまらないとも思う。 畑に栽培されている植物の色が
一切れごとにそれぞれ一つも同じものはない。打ち返されて露出している土でも乾燥の程....
「○○獣」より 著者:海野十三
腹が減ったから、そいつを掘り出して喰べようというわけだ。お前も手伝ってくれれば、
一切れ呉れてやるよ」 「泥まみれのパイなんか、僕は好きじゃないんだよ。ねえドン助....
「連城」より 著者:田中貢太郎
出かけていって、その病気を癒すことができるといったが、ただそれには男子の胸の肉を
一切れ用いて薬を調合しなくてはならなかった。孝廉は人を王の家へやって婿に知らした....
「カラマゾフの兄弟」より 著者:ドストエフスキーフィヨードル・ミハイロヴィチ
もう済みましたよ」とアリョーシャは答えたものの、その実、修道院長の台所で、パンを
一切れにクワスを一杯飲んだだけであった。「僕はこの熱いコーヒーをいただきましょう....
「六月」より 著者:相馬泰三
壺、インキのしみ、弁当をたべた跡、――割箸を折って捨てたのや、時によると香の物の
一切れぐらいおちたままになっていることも珍らしくない。――お茶の土瓶、湯呑のひっ....
「次郎物語」より 著者:下村湖人
で縁側に坐ったままでいたが、その時ふと彼の眼にしみついたのは、父のお膳に残された
一切れの卵焼であった。 おおよそ次郎にとって、卵焼ほどの珍味は世界になかった。....
「自由人」より 著者:豊島与志雄
で忙しいんだよ、きっと。手伝っておいでよ。」 そして順一はもう、菓子鉢の羊羮を
一切れつまみあげていた。 「お兄さま、ずるい。わたしたちがいない間に、お羊羮をみ....
「生活と一枚の宗教」より 著者:倉田百三
きにせよという。かと思えば、まず兄弟と和らいで後にせよという。あるときにはパンの
一切れでもたいせつにしなければならぬといったかと思うと、あるときには高価なものを....
「わが童心」より 著者:佐藤垢石
いないと、下の狐はしばしがほど、辛抱に辛抱を重ねて、上の狐が青年共の隙を狙って、
一切れの餅を股座へ抛り込むのを待っていた。 が、しかし上の狐は甚だ友情に乏しい....
「遍路」より 著者:斎藤茂吉
拝して、追々帰国しようというのであるから前途はそう艱難ではなかった。T君は朝鮮飴
一切れを出して遍路にやった。遍路はそれを押しいただき、それを食べるかと思うと、胸....
「変身」より 著者:カフカフランツ
。というのは、そこには甘いミルクを容れた鉢があり、ミルクのなかには白パンの小さな
一切れが浮かんでいた。彼はよろこびのあまりほとんど笑い出すところだった。朝よりも....
「材料か料理か」より 著者:北大路魯山人
にしてもその魚のいちばんおいしいところはどの部分か、ということを知らねばならぬ。
一切れの魚を買うにも、魚屋はだいたいどの
一切れを売ってもいいのだから、その魚のい....