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一刻
「一刻〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
一刻の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
顧みると、またやさしくことばを添えた。
「じゃ、お前はここで、待っていておくれ。
一刻《いっとき》か二刻《ふたとき》で、皆帰ってくるからね。」
阿濃は、子供のよ....
「不思議な島」より 著者:芥川竜之介
す》をやる、温室へ入れる、電流を通じる、――とてもお話にはなりません。中にはまた
一刻も早く育てようとあせった挙句《あげく》、せっかく大事にしている野菜を枯らして....
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
も黒い首尾《しゅび》の松《まつ》の前へ、さしかかろうとしているのです。そこで私は
一刻も早く、勝美《かつみ》夫人の問題へ話題を進めようと思いましたから、早速三浦の....
「河童」より 著者:芥川竜之介
返すにしても、とにかく霧の晴れるのを待った上にしなければなりません。といって霧は
一刻ごとにずんずん深くなるばかりなのです。「ええ、いっそ登ってしまえ。」――僕は....
「或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
た銭《ぜに》ではございませんか。御戻りになるがものはございますまい。」と云って、
一刻も早く鼻の先の祥光院まで行っていようとした。しかし甚太夫は聞かなかった。「鳥....
「桃太郎」より 著者:芥川竜之介
人夫婦は内心この腕白《わんぱく》ものに愛想《あいそ》をつかしていた時だったから、
一刻も早く追い出したさに旗《はた》とか太刀《たち》とか陣羽織《じんばおり》とか、....
「尼提」より 著者:芥川竜之介
て行った。如来が彼の面前へ姿を現したのは不可思議《ふかしぎ》である。が、あるいは
一刻も早く祇園精舎《ぎおんしょうじゃ》へ帰るためにぬけ道か何かしたのかも知れない....
「白」より 著者:芥川竜之介
恐ろしさに、思わず吠《ほ》えるのを忘れました。いや、忘れたばかりではありません。
一刻もじっとしてはいられぬほど、臆病風《おくびょうかぜ》が立ち出したのです。白は....
「少年」より 著者:芥川竜之介
三十年後の保吉にもそのまま当嵌《あてはま》る態度である。代赭色の海を承認するのは
一刻も早いのに越したことはない。かつまたこの代赭色の海を青い海に変えようとするの....
「秋山図」より 著者:芥川竜之介
代の墨妙《ぼくみょう》を見ることができるに違いない。――こう思った煙客翁は、もう
一刻も西園《さいえん》の書房に、じっとしていることはできないような、落着かない気....
「二つの手紙」より 著者:芥川竜之介
とって、かなり大きな損害に相違ございません。しかし事情はこれを書かなければ、もう
一刻の存在も苦痛なほど、切迫して参りました。ここで私は、ついに断乎たる処置を執る....
「忠義」より 著者:芥川竜之介
事を云うのである。勿論、彼は、この憎しみを意識してはいなかった。少くとも、最後の
一刻を除いて、修理に対する彼の忠心は、終始変らないものと信じていた。「君《きみ》....
「追憶」より 著者:芥川竜之介
あった囃しだったかもしれない。しかし僕は二百年来の狸の莫迦囃しではないかと思い、
一刻も早く家へ帰るようにせっせと足を早めたものだった。 三四 動員令 ....
「杜子春」より 著者:芥川竜之介
人、ここへ足を踏み入れるとは、よもや唯の人間ではあるまい。さあ命が惜しかったら、
一刻も早く返答しろ」と言うのです。 しかし杜子春は老人の言葉通り、黙然と口を噤....
「三人の百姓」より 著者:秋田雨雀
御養育いたさせたのだ。その証拠はお子を拾い上げた者が所持しているはずだ。とにかく
一刻も早く吉松殿にお目通りいたしたい。」 と大変真面目な言調で言いました。 庄....