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「一劃〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

一劃の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
自叙伝」より 著者:大杉栄
ざいに書いてはいけないと言って注意してくれた。が、僕には、どうしてもお手本の一点一劃をその通りに見て書くということができなかった。そしてこのぞんざいのお蔭で、今....
河明り」より 著者:岡本かの子
って間もないあたたかい日で、照るともなく照る底明るい光線のためかも知れない、この一劃だけ都会の麻痺が除かれていて、しかもその冴え方は生々しくはなかった。私はその....
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
迦気て見える蒐集家の神経を頷くことが出来た。廊下はそこを基点に左右へ伸びていた。一劃ごとに扉が附いているので、その間は隧道のような暗さで、昼間でも龕の電燈が点っ....
人造人間戦車の機密」より 著者:海野十三
へ引返し、日本軍と戦いを交えたい決意だった。それからこっちへ十年、遂にこの砂漠の一劃に、十年計画の重工業地帯が完成したのを機に、密使油蹈天をはるばる上海に遣して....
縷紅新草」より 著者:泉鏡花
土手の小高い処で、※々と墓が並び、傾き、また倒れたのがある。 上り切った卵塔の一劃、高い処に、裏山の峯を抽いて繁ったのが、例の高燈籠の大榎で、巌を縫って蟠った....
小公女」より 著者:菊池寛
人達を見て、彼女は、よくその人達のことを想像してみるのでした。ミンチン女塾のある一劃には、五つか六つの家族が住んでいました。セエラはそれぞれの家族と、彼女の空想....
地虫」より 著者:小栗虫太郎
っ黒な堀水である。 そんなわけで、もしも端れの一つに橋がなかったとすれば、その一劃は、腐泥のなかで、孤島のように泛びあがってしまうのだ。 都市中の孤島――私....
夢殿殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
と動揺の色が現われた。 二、火焔太鼓の秘密 盤得尼が去ってから、尚も三階の一劃を調べたけれども、そこには何一つ発見されなかった。そして、再び二階に下りると....
剣侠」より 著者:国枝史郎
どこにあるのだろう? ほとんど見当がつかない程であった。 が、その屋敷はこの一劃の奥、北詰の地点にあるのであって、その屋敷にはその屋敷に属する、石垣があり門....
なよたけ」より 著者:加藤道夫
期に唐の国から移植されたものらしいんだが、三百年足らずの間にどうだ、この東の国の一劃にも、このように幽麗な叢林を形成してしまったのだ。……まるで、もうここはあの....
兄妹」より 著者:岡本かの子
む姿がただただいたましく悲しかった。兄妹の行き着くべき大家族の家の近くに武蔵野を一劃する大河が流れていた。日は落ち果てて対岸の燈が薄暮の甘い哀愁を含んでまばらに....
決闘場」より 著者:岡本かの子
境界近く、ずっと昔から何百年間も使われた旧い決闘場の跡で、今もその儘に残って居る一劃がある。 まばらに生えた白樺の木立に取り囲まれ、幅四間、長さ十間程の長方形....
ガルスワーシーの家」より 著者:岡本かの子
の家々が立ち並ぶ横丁を歩いて行った。二ツ目の辻の右の角は赤煉瓦の塀で取り囲まれた一劃となって、其の塀越しにすっきりと眼もさめるような白堊の軍艦が浮んで見える。軍....
絹と紙の話と師弟の間柄の話」より 著者:上村松園
のはもっともなことですが、しかし紙本の味は又、下描きをした上から丹念に描いた一点一劃間違いのないような精細確実な処にあるのではなくて、軽妙洒脱な筆の味ばかりでも....
とと屋禅譚」より 著者:岡本かの子
昼の日本堤は用事のある行人で遊里近い往還とも思われなかった。藁葺屋根を越して廓の一劃の密集した屋根が近々と望まれた。日本建ての屋根瓦のごちゃごちゃした上に西洋風....