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一向
「一向〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
一向の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
捗《はか》がお行きですか。」
やがて、崋山が話題を別な方面に開いた。
「いや、
一向はかどらんでしかたがありません。これも古人には及ばないようです。」
「御老人....
「ひょっとこ」より 著者:芥川竜之介
なって着のみ着のままでかけ落ちをしてしまった。そこで、一家安穏のためにした信心が
一向役にたたないと思ったせいか、法華気違いだった旦那が急に、門徒へ宗旨替《しゅう....
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
文が無事に御手許にとどいても、とんと御返事と申すものは頂けません。が、若殿様は、
一向それにも御頓着なく、三日にあげず、御文やら御歌やら、あるいはまた結構な絵巻や....
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
よりの洋行帰りの一人として、すべて旧弊じみたものが大嫌いだった頃ですから、『いや
一向同情は出来ない。廃刀令《はいとうれい》が出たからと云って、一揆《いっき》を起....
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
い老人だった。が、金歯《きんば》を嵌《は》めていたり、巻煙草をすぱすぱやる所は、
一向道人らしくもない、下品な風采《ふうさい》を具えていた。お蓮はこの老人の前に、....
「西郷隆盛」より 著者:芥川竜之介
物のパイプを銜《くわ》えたまま、煙を吹き吹き、その議論に耳を傾けていた老紳士は、
一向《いっこう》辟易《へきえき》したらしい景色《けしき》を現さない。鉄縁の鼻眼鏡....
「猿蟹合戦」より 著者:芥川竜之介
飼《か》ったそうである。
かつまた蟹の仇打ちはいわゆる識者の間《あいだ》にも、
一向《いっこう》好評を博さなかった。大学教授某|博士《はかせ》は倫理学上の見地か....
「仙人」より 著者:芥川竜之介
。」
李は撫然《ぶぜん》として、こんな事さえ云った。が、道士の無口な事は、前と
一向、変りがない。それが、李の神経には、前よりも一層、甚しくなったように思われた....
「仙人」より 著者:芥川竜之介
何と云う莫迦《ばか》な事を云うのだ? もしその田舎者《いなかもの》が何年いても、
一向《いっこう》仙術を教えてくれぬなぞと、不平でも云い出したら、どうする気だ?」....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
つきを見せた。
「何が可笑《おか》しい?」
が、彼等には彼の威嚇《いかく》も、
一向効果がないらしかった。彼等はさんざん笑ってから、ようやく彼の方を向くと、今度....
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
は彼の煎り豆を噛んだのは倹約の為と信じていたものの、彼の古人を罵ったのは何の為か
一向わからなかった。しかし今日考えて見れば、それは今人を罵るよりも確かに当り障り....
「田端日記」より 著者:芥川竜之介
したが思いつかない。 起きて顔を洗って、にぎり飯を食って、書斎の机に向ったが、
一向ものを書く気にもならない。そこで読みかけの本をよんだ。何だかへんな議論が綿々....
「兄貴のような心持」より 著者:芥川竜之介
、その議論に勝った時でさえ、どうもこっちの云い分に空疎な所があるような気がして、
一向勝ち映えのある心もちになれない。ましてこっちが負けた時は、ものゝ分った伯父さ....
「久米正雄氏の事」より 著者:芥川竜之介
としては別段似てもいません。 こう云う特質に冷淡な人は、久米の作品を読んでも、
一向面白くないでしょう。しかしこの特質は、決してそこいらにありふれているものでは....
「本所両国」より 著者:芥川竜之介
小学時代に古い筆を何本も筆塚へ納めたことを思い出した。(が、僕の字は何年たっても
一向上達する容子はない。)それから又石の牛の額へ銭を投げてのせることに苦心したこ....