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一向き
「一向き〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
一向きの前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「箕輪心中」より 著者:岡本綺堂
のりと流れて、やわらかい風をそよそよと男に送った。 「今夜は廓の騒唄《さわぎ》が
一向きこえないようだな」と、外記は縁の柱にもたれながら耳を傾けた。 綾衣は笑い....
「今にわれらも」より 著者:宮本百合子
ている。 だから、今度の〔二字伏字〕が〔三字伏字〕の〔二字伏字〕だとふれても、
一向ききめがないそうだ。人民が生計のためになくてならない枝一本でも、伐れば懲役に....
「火星兵団」より 著者:海野十三
どうかしたのかと思って、服の袖でしきりにガラスをふいた。
だが、そんなことは、
一向ききめがなく、だんだんと暗さがました。
「おやおや、火星が見えなくなってしま....
「現代日本の思想対立」より 著者:戸坂潤
徴論・の何よりの実行案に他ならなかったということだ。国体明徴論は国体明徴論でただ
一向きに押して行けばいいのに、云うまでもなくそういうものでは云わば伝道のようなも....
「明治のランプ」より 著者:宮本百合子
て、地方の有志にも計ってそれを実行にうつした。複雑な政党関係などがあって、祖父が
一向きな心で開墾を思っているように単純にことが運ばず、事業そのものは遂げられたが....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
的地は違います。すなわち鐙小屋の神主は硫黄岳、焼ヶ岳の鳴動の実地調査のために北へ
一向きに――弁信はとりあえず飛騨の平湯を指して、西へ向ってひとり行かねばなりませ....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
と舌を捲いた表情を加えて、弁信の面《かお》を見返しました。 見直されたところが
一向きまり悪いとは感じない弁信が、また立てつづけに、べらべらと喋り出してしまいま....
「霧の中」より 著者:豊島与志雄
うな南さんの気持を、木原さんはくどくどと説明してきかしたようだったが、山根さんは
一向ききいれず、しまいには一切口を噤んでしまった。口を噤むのは憤慨のしるしだった....
「妖怪談」より 著者:井上円了
ろ工夫をしたけれども、致し方がないので、呪咀や祈祷やなんぞをしてもらいましたが、
一向ききめがないので、日々苦痛は勝るのみでありました。 すると、あるときのこと....
「宝永噴火」より 著者:岡本かの子
別れて一人となる機会の操るままに任せ、自分だけは切れそうになる思惟の糸を継ぎ継ぎ
一向きにかの神秘の把握に探り入った。 そういう状態で彼は友に招かれたり、また伴....