一呑み[語句情報] » 一呑み

「一呑み〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

一呑みの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
星座」より 著者:有島武郎
なみと水を盛った大きなコップだった。渡瀬はめちゃくちゃに悲しくなってきた。それを一呑みに飲み干したい欲求はいっぱいだったが、酔いがさめそうだから飲んではならない....
爬虫館事件」より 著者:海野十三
なってしまった。 そのとき奥の潜り戸をあけて、副園長の西郷が、やや小柄の、蟒に一呑みにやられてしまいそうな、青白い若紳士を引張ってきた。 「ご紹介します。こち....
猿飛佐助」より 著者:織田作之助
、笑止よな。そっちが伊賀流なら、こっちは甲賀流。蛇の道は蛇を、一匹ひねりだせば、一呑みに勝負はつくものを。したが、それでは些か芸がない。打ち見たところ、首をかし....
雷峯塔物語」より 著者:田中貢太郎
な白い※蛇がいて、それが燈盞のような両眼を光らし、焔のような舌を出して、戴先生を一呑みにしようとするように口を持ってきた。戴先生は手にした瓶の落ちるのも知らずに....
ドグラ・マグラ」より 著者:夢野久作
気の区別を問わない。馬鹿も怜悧も一列平等。ドンと蹴込んでピタリと閉じたら。タッタ一呑み文句を云わせぬ。音も香もなく落ち行く先だよ。娑婆の道理や人情の光りが。影も....
残されたる江戸」より 著者:柴田流星
苛むなぞはまだしものこと、ややともすればジャアンと打ッつかったが最後、大江戸を唯一呑みと赤い舌を吐いて、ペロリペロリそこら中を嘗めまわす。江戸の花だと気勢う連中....
十二支考」より 著者:南方熊楠
ず、矢筒その上に鳴り鎗に矛《ほこ》相|閃爍《きらめ》く、猛《たけ》りつ狂いつ地を一呑みにし、喇叭《らっぱ》の声鳴り渡るも立ち止まる事なし、喇叭の鳴るごとにハーハ....
時限爆弾奇譚」より 著者:海野十三
半、全長は十一|米……」 「それは駄目だ。いくらわしでも、そんな長い奴を、とても一呑みには出来んぞ」 「いや、一呑みになさるには及びません。厚さが十|糎ぐらいの....
怪奇人造島」より 著者:寺島柾史
なして、轟々と物凄いうなりをあげている。「あッ! 大渦巻だ!」「人をも、船をも、一呑みにする魔の海だ」 生残りの技術員たちは、口々に叫んで、船橋から転げ落ちる....
蛇性の婬 」より 著者:田中貢太郎
な白い蠎蛇がいて、それが燃盞のような両眼を光らし、炎のような舌を出して、戴先生を一呑みにしようとするように口を持って来た。戴先生は手にした瓶の落ちるのも知らずに....
一つの約束」より 著者:太宰治
。ほんの一瞬である。たちまち、ざぶりと大波が押し寄せ、その内気な遭難者のからだを一呑みにして、沖遠く拉し去った。 もはや、たすかる道理は無い。 この遭難者の....
月光の下」より 著者:田中貢太郎
がぎらぎらと燃えつくようになったのを見た。海嘯はその後からすぐ湧起って、家も人も一呑みにした。壮い漁師は、赤い手柄をかけた女房を引っ抱えるようにして裏口に出たが....
沈黙の水平線」より 著者:牧逸馬
ら、あるいは、いまだかつて人間の知らない海の巨大動物が現れて、ワラタ号を人諸とも一呑みにしたのだことのと、怪異な事実によってスタアトした空想は、限りなく伸びる。....
グーセフ」より 著者:神西清
ったら、波は情け容赦もなく船を叩き潰して、乗っている人間は聖者でも罪人でも残らず一呑みにするだろう。船だってやはり、無分別な残忍な顔つきをしている。この嘴の巨き....
三国志」より 著者:吉川英治
「率直にお訊ねするの不遜をおゆるしありたい。いま曹操の軍勢百万雄将千員、天下を一呑みにせんが如き猛威をふるっておるが、先生には何の対策かある。乞う、吾々のため....