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一声
「一声〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
一声の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
。十郎を救おうとして、ばらばらと走り寄った、盗人たちの機先を制して、耳をつんざく
一声《いっせい》の角《つの》を合図に、粉々として乱れる矢の中を、門の内から耳のと....
「報恩記」より 著者:芥川竜之介
り雪の中へ蹴倒《けたお》されました。
「莫迦《ばか》め!」
甚内《じんない》は
一声叱ったまま、元の通り歩いて行きそうにします。わたしはほとんど気違いのように法....
「犬と笛」より 著者:芥川竜之介
言う己《おれ》は、葛城山《かつらぎやま》の足一《あしひと》つの神だ。」と言って、
一声高く口笛を鳴らしますと、森の奥から一匹の白犬が、落葉を蹴立てて駈《か》けて来....
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
向うの摩利信乃法師が、たちまち身を起したらしいけはいを見せて、
「誰じゃ。」と、
一声|咎《とが》めました。もうこうなっては、甥を始め、私までも騎虎《きこ》の勢い....
「河童」より 著者:芥川竜之介
天に空罎が落ちたものですから、quack(これはただ間投詞《かんとうし》です)と
一声叫んだぎり、とうとう気を失ってしまいました。
八
僕は硝子《ガラス》会....
「首が落ちた話」より 著者:芥川竜之介
る。すると馬も創《きず》を受けたのであろう。何小二が鞍の前輪へつっぷすが早いか、
一声高く嘶《いなな》いて、鼻づらを急に空へ向けると、忽《たちま》ち敵味方のごった....
「白」より 著者:芥川竜之介
》、やっと上高地へ着することが出来た。しかし犬は目の下に温泉宿の屋根が見えると、
一声《ひとこえ》嬉しそうに吠《ほ》えたきり、もう一度もと来た熊笹《くまざさ》の中....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
《ひょうし》に彼の口からは、叫ぶとも呻《うめ》くとも形容出来ない、苦しそうな声が
一声《ひとこえ》溢《あふ》れて来た。あの容貌の醜い若者は、その声が耳にはいるが早....
「藪の中」より 著者:芥川竜之介
の罪は赦《ゆる》してやりたい。(再び、長き沈黙)
妻はおれがためらう内に、何か
一声《ひとこえ》叫ぶが早いか、たちまち藪の奥へ走り出した。盗人も咄嗟《とっさ》に....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
、囁いたのを耳にしました。と同時に近くへ落雷があったのでしょう。天が裂けたような
一声の霹靂《へきれき》と共に紫の火花が眼の前へ散乱すると、新蔵は恋人と友人とに抱....
「或る女」より 著者:有島武郎
らしくいった。
「はあ」葉子はなんの苦もなく親しみの限りをこめた返事をした。その
一声の中には、自分でも驚くほどな蠱惑《こわく》の力がこめられていた。
事務長が....
「時代閉塞の現状」より 著者:石川啄木
して一部の間に認められているごとく、樗牛《ちょぎゅう》の個人主義がすなわちその第
一声であった。(そうしてその際においても、我々はまだかの既成強権に対して第二者た....
「クララの出家」より 著者:有島武郎
た。全身はかつて覚えのない苦しい快い感覚に木の葉の如くおののいた。喉も裂け破れる
一声に、全身にはり満ちた力を搾り切ろうとするような瞬間が来た。その瞬間にクララの....
「杜子春」より 著者:芥川竜之介
、爛々と眼を光らせた虎が一匹、忽然と岩の上に躍り上って、杜子春の姿を睨みながら、
一声高く哮りました。のみならずそれと同時に、頭の上の松の枝が、烈しくざわざわ揺れ....
「茸をたずねる」より 著者:飯田蛇笏
生え茂った絶頂へ行って一休しよう、その辺の疎らな松木立の中に猪の鼻と飛び上り、又
一声鳴いては飛び上りつつ翔ってゆく。偶々自分の休んで居る樹間に翔って来ることなど....