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一度ならず
「一度ならず〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
一度ならずの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「疑惑」より 著者:芥川竜之介
た以前にも、内々同じような相談を持ちかけて私の口裏《くちうら》を引いて見るものが
一度ならずあったのでございます。所が校長の話を聞いて見ますと、意外な事にはその縁....
「冬の蠅」より 著者:梶井基次郎
上などを、いじけ衰えた姿で匍《は》っているのである。 冬から早春にかけて、人は
一度ならずそんな蠅を見たにちがいない。それが冬の蠅である。私はいま、この冬私の部....
「玉藻の前」より 著者:岡本綺堂
こうあきらめて頼長も宇治へ帰った。さきの雨乞いといい、きょうの待ち伏せといい、
一度ならず二度までも仕損じた彼は、さすがに胸が落ち着かなかった。彼も悪魔の復讐を....
「夫婦善哉」より 著者:織田作之助
たちが動揺《どうよう》した。ひとりひとり当ってみると、どの女給もその女を見習って
一度ならずそんな道に足を入れているらしかった。そうしなければ、その女に自分らの客....
「家霊」より 著者:岡本かの子
になって行くのを見兼ねた。正直のところ、窓の外へ強引に連れ出そうかと思ったことも
一度ならずあった。それと反対に、こんな半|木乃伊《ミイラ》のような女に引っかかっ....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
間、ふっと気が変った。というのは、たといその仮面を無事に取り戻して来たとしても、
一度ならず二度までも重役たちに厳しく叱られている以上、なにかの咎めを受けるかも知....
「中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
ます。わたしは山の神です」 「どうして勘弁がなるものか」と、王は罵った。「貴様は
一度ならず二度までも、おれの漁場をあらした奴だ。山の神でもなんでも容赦はない。罪....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
は、すべての点において木と鉄で出来ている一般の人力車とちっとも変わりがなかった。
一度ならず私は、ある乗馬の下手な友達が、その人力車を馬で踏み越えてゆくのを呼び止....
「離魂病」より 著者:岡本綺堂
、お福の挙動に別に変ったらしいことも見いだされなかった。 二 西岡は
一度ならず二度ならず、三度目の不思議に遭遇した。 それはあくる月の十三日である....
「余裕のことなど」より 著者:伊丹万作
源太を、いよいよ先陣あらそいとなると、またもや「馬の腹帯ゆるみて見ゆるぞ」などと
一度ならず二度までもだまして平気でいられるとしたら四郎という人間はよほど度しがた....
「魚妖」より 著者:岡本綺堂
いながらよく視ると、ひとつ残っていた、かの大うなぎは不思議に姿を隠してしまった。
一度ならず、二度三度の不思議をみせられて、吉次郎はいよいよ怖ろしくなった。かれは....
「停車場の少女」より 著者:岡本綺堂
来たばかりの継子さんが死ぬなどというはずがありません。けれども、わたくしの耳には
一度ならず、二度までも確かにそう聞えたのです。怪しい娘がわたくしに教えてくれたよ....
「坑鬼」より 著者:大阪圭吉
出されたのだ。そしてその締縄に清められた筈の防火扉の前で、皮肉にも新らしい血が、
一度ならず二度までも流されてしまった。片盤の坑夫や坑女たちは、網をかぶった薄暗い....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
霊をたくさん見たことがあるし、ひとりで散歩したときには、いろいろな形をした悪魔に
一度ならず取りかこまれたこともあった。だが、昼の光がさせば、こういう悪魔どもはす....
「小坂部姫」より 著者:岡本綺堂
えて、うす緑の山が幾重にも重なっているのが遠く仰がれた。交野か、嵯峨か、なんでも
一度ならず見たことのある景色だとは思いながら、小坂部はそこが何処であるかをはっき....