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一度に
「一度に〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
一度にの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
それから、腐れ水にぬれた尾が、ずるずるあごの下へたれる――と思うと、子供たちは、
一度にわっとわめきながら、おびえたように、四方へ散った。
今まで死んだようにな....
「鼻」より 著者:芥川竜之介
めは、下を向いて可笑《おか》しさをこらえていたが、とうとうこらえ兼ねたと見えて、
一度にふっと吹き出してしまった。用を云いつかった下法師《しもほうし》たちが、面と....
「犬と笛」より 著者:芥川竜之介
あねえさま》の御顔を一目見たと思うと、
「御姉様。」
「妹。」と、二人の御姫様は
一度に両方から駈けよって、暫くは互に抱《だ》き合ったまま、うれし涙にくれていらっ....
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
半年ばかり前から、御屋形《おやかた》の空へ星が流れますやら、御庭の紅梅が時ならず
一度に花を開きますやら、御厩《おうまや》の白馬《しろうま》が一夜《いちや》の内に....
「神神の微笑」より 著者:芥川竜之介
っと狂わしい踊をやめた。いや、鳴き競っていた鶏さえ、この瞬間は頸を伸ばしたまま、
一度にひっそりとなってしまった。するとその沈黙の中に、永久に美しい女の声が、どこ....
「袈裟と盛遠」より 著者:芥川竜之介
の心もちに比べれば、どのくらいましだかわからない。私の持っていたさまざまな夢は、
一度にどこかへ消えてしまう。後にはただ、雨のふる明け方のような寂しさが、じっと私....
「首が落ちた話」より 著者:芥川竜之介
た軍帽と、やはり赤い肋骨《ろっこつ》のある軍服とが見えると同時に、誰からともなく
一度に軍刀をひき抜いて、咄嗟《とっさ》に馬の頭《かしら》をその方へ立て直した。勿....
「魔術」より 著者:芥川竜之介
しまわなければなりません。のみならずこの勝負に勝ちさえすれば、私は向うの全財産を
一度に手へ入れることが出来るのです。こんな時に使わなければどこに魔術などを教わっ....
「おぎん」より 著者:芥川竜之介
た。
「わたしはおん教を捨てる事に致しました。」
声の主はおぎんである。見物は
一度に騒《さわ》ぎ立った。が、一度どよめいた後《のち》、たちまちまた静かになって....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
茶の間にはやはり姉や洋一が、叔母とひそひそ話していた。それが彼の姿を見ると、皆
一度に顔を挙げながら、何か病室の消息《しょうそく》を尋ねるような表情をした。が、....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
う彼をたしなめると、面白そうに彼の当惑《とうわく》を見守っていた二人の女たちも、
一度に小鳥のごとくしゃべり出した。
「ほんとうですわ。」
「どうして嘘だと御思い....
「少年」より 著者:芥川竜之介
自働車の止まったのは大伝馬町《おおでんまちょう》である。同時に乗客は三四人、
一度に自働車を降りはじめた。宣教師はいつか本を膝《ひざ》に、きょろきょろ窓の外を....
「歯車」より 著者:芥川竜之介
が何羽も舞い下って来た。が、この鉢のあたりへ来ると、どの雀も皆言い合わせたように
一度に空中へ逃げのぼって行った。…… 僕は妻の実家へ行き、庭先の籐椅子に腰をお....
「杜子春」より 著者:芥川竜之介
れを見た閻魔大王は、すぐに鬼どもの方を向いて、荒々しく何か言いつけると、鬼どもは
一度に畏って、忽ち杜子春を引き立てながら、森羅殿の空へ舞い上りました。 地獄に....
「トロッコ」より 著者:芥川竜之介
平はもう好いと思ったから、年下の二人に合図をした。 「さあ、乗ろう!」 彼等は
一度に手をはなすと、トロッコの上へ飛び乗った。トロッコは最初|徐ろに、それから見....