一廉[語句情報] » 一廉

「一廉〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

一廉の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
かけていた。師匠の左内は四十前後で、色の黒い、眼の鋭い、筋骨の逞ましい、見るから一廉の武芸者らしい人物であった。 御新造のお常は、この時代の夫婦としては不釣合....
婦系図」より 著者:泉鏡花
やっぱり悪戯な小僧さん? 犬にばっかり弄っているんでしょう、私ン許のも同一よ。」一廉社会観のような口ぶり、説くがごとく言いながら、上に上って、片手にそれまで持っ....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
て貰おう」 其蝶はもう覚悟をきめたらしく、すなおに牽かれて表へ出た。 「これで一廉の手柄をした積りでいたところが、ちっと見当が狂いましたよ」と、半七老人は額を....
三浦老人昔話」より 著者:岡本綺堂
思いながらも、先ずそのまゝにして置くうちに、主人の道楽はいよ/\募って来て、もう一廉の太夫さん気取りになってしまったのです。 むかしから素人の芸事はあまり上達....
青蛙堂鬼談」より 著者:岡本綺堂
ほかにも三、四の会社に関係して、相談役とか監査役とかいう肩書を所持している。まず一廉の当世紳士である。梅沢君は若いときから俳句の趣味があったが、七、八年前からい....
江戸か東京か」より 著者:淡島寒月
る時分に「おはよ/\」の蝋燭屋の歌公というのが、薩摩蝋燭を大道商人に売り歩いて、一廉の儲があった位だということでした。「おはよ/\」とは、歌公が「おはよ/\の蝋....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
何を……悪気はない。悪気がなくって、悪口を、何だ、洒落だ。黙んな、黙んな。洒落は一廉の人間のする事、云う事だ。そのつらで洒落なんぞ、第一読者に対して無礼だよ。べ....
照葉狂言」より 著者:泉鏡花
て、まるで夢中だから、きっとその何なんだって。そして、どうかしておくれなら、もう一廉のものいいがつく。きっと叩き出してお雪さんを助けると継母が云うんだがね。――....
夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
。乏しい煙草をがつがつ吸うよりも遥に増しだと思っているのである。 彼も若い頃は一廉の愛煙家であったに違いない。少し喫み過ぎたと気が附いて、止めようとして、初手....
卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
粟を生じた。正にそれに相違ないのだから。……流儀は違うが、額も、鼻も、光る先生、一廉のお役者で、評判の後家――いや、未亡人――いや、後室たらしさ。 ――あとで....
二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
禄で衣食した士族|出の官吏の家では官吏を最上の階級とし、官吏と名が附けば腰弁でも一廉の身分があるように思っていたから、両親初め周囲のものは皆二葉亭の仕官を希望し....
チベット旅行記」より 著者:河口慧海
酷な遣り方で自分の望み通り敵を滅ぼしとげた位の人物であるから、外交の事に掛けても一廉の腕前があるに違いない。この人がまた非常にロシアのツァンニー・ケンボと親しい....
活人形」より 著者:泉鏡花
のものであったか知らん。道理で来てから帰るまで変なことずくめ、しかし幽霊でも己が一廉の世話をしてやったから、空とは思うまい。何のせいだかあの婦人は、心から可愛う....
扉の彼方へ」より 著者:岡本かの子
いとどまり、自分で事業を経営して見たがうまく行かず、一度外国へ立退いて帰ってから一廉の事業企劃家になったのだそうです。良人は四十も過ぎているし、私はやっと二十二....
宝永噴火」より 著者:岡本かの子
ふる寺の 小夜ふけがたの雪のひゞきを 斯くて三十四歳の時は、押しも押されもせぬ一廉の禅師になり、亡師のあとを継いで松蔭寺の住職となり、まだ破れ寺ではあるが、そ....