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「一往〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

一往の前後の文節・文章を表示しています。該当する9件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
とむらい機関車」より 著者:大阪圭吉
それは二月に這入って間もない頃の、霜の烈しい或る朝の事でした。 当時一昼夜一往復でY――N間の貨物列車運転に従事していたD50・444号は、定刻の午前五時....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
せねばならなかった。貧しい武家衆や公卿衆の質の悪いものになると、江戸と京都の間を一往復して、すくなくも千両ぐらいの金を強請し、それによって二、三年は寝食いができ....
自由画稿」より 著者:寺田寅彦
中に突っ込んで粉を充分に含ませておいて口中に運ぶ、そうして筆の穂先を右へ左へ毎秒一往復ぐらいの週期で動かしながらまんべんなく歯列の前面を摩擦するのである。何分間....
百姓弥之助の話」より 著者:中里介山
念な気持がしたが、とうとうそれっきり姿を見せないのである。 それからまた東京へ一往来して帰って来て一人寝たが猫は来ない、若《も》しやと思って気をつけたがとうと....
自由人」より 著者:豊島与志雄
らった。 後に、千重子の言うところによれば、順造と小泉とは、話をしながら縁側を一往復し、それからなおちょっと立ち話をした、ただそれだけのことだったらしい。 ....
決闘」より 著者:神西清
っている、冷笑を浮かべてね。」 ラエーフスキイは葡萄酒を一口やって、隅から隅へ一往復し、それから部屋の真中に立ちどまると言葉をつづけた。 「僕にはフォン・コー....
法隆寺再建非再建論の回顧」より 著者:喜田貞吉
てはいたが、実は再建論は既に黒川・小杉両先生を始めとして、その他の諸先輩によって一往完成せられたものであった。そして余輩はただその驥尾に附して、当時関野・平子の....
汽船が太平洋を横断するまで」より 著者:服部之総
プホーンを迂回するとき、長期の航海日数を要するため非常な不便を嘗《な》めている。一往復平均十ヶ月を費すものと仮定してよい。これに対してヨーロッパ・シナ間の往復は....
俗法師考」より 著者:喜田貞吉
に陰陽師の旧家たる中尾氏があってみれば、陰陽町すなわち中尾唱門の所在と解するにも一往の道理はあるといわねばならぬ。吉備塚は遠く東の方に離れている。したがって五箇....