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「一徹〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

一徹の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
偸盗」より 著者:芥川竜之介
、ただ、それが心配なのさ。娘は、なにしろあのとおりの気質だし、太郎さんにしても、一徹人《いってつじん》だから、わたしは、お前さんによく頼んでおこうと思ってね。お....
或る女」より 著者:有島武郎
思いますから……」 「そういわないでほんとうに思った事をいってみてください。僕は一徹ですからひどい思い間違いをしていないとも限りませんから。どうか聞かしてくださ....
カインの末裔」より 著者:有島武郎
。今一人は仁右衛門の縁者という川森|爺《じい》さんだった。眼をしょぼしょぼさせた一徹らしい川森は仁右衛門の姿を見ると、怒ったらしい顔付をしてずかずかとその傍によ....
土曜夫人」より 著者:織田作之助
舌的な演説のうまさと、政治資金の濫費と、押しの強さで政界に乗り出していたが、元来一徹者の自信家で、人を小莫迦にする癖があり、成り上り者の東条英機などを、政界の軽....
仇討禁止令」より 著者:菊池寛
が三分という形勢であった。佐幕派の首領は、家老の成田頼母で、今年五十五になる頑固一徹の老人である。 「薩長土が、なんじゃ、皆幼帝をさしはさんで、己れ天下の権を取....
生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
ところだった。しかし君のスケッチ帳と手紙とを見ると、ぜひ君に会ってみたくなって、一徹にすぐ旅行の準備にかかった。その日から一週間とたたない十一月の五日には、もう....
親子」より 著者:有島武郎
後の白兵戦になったと彼は思った。 もう夕食時はとうに過ぎ去っていたが、父は例の一徹からそんなことは全く眼中になかった。彼はかくばかり迫り合った空気をなごやかに....
深夜の市長」より 著者:海野十三
「……あたしは性格破産者なのです。兄の家にいましたが、兄は馬鹿正直なくらい昔風な一徹な性質で、新しい生活様式に憧れる妹とは何ごとにつけても合うはずがありません。....
河明り」より 著者:岡本かの子
下は生みの母より、堺屋の妻の方が多少好きであった。 「堺屋のおふくろさんは、強情一徹ですが、まださっぱりしたところがありました。が、僕を自分ばかりの子にして仕舞....
三浦老人昔話」より 著者:岡本綺堂
で、組頭はにこ/\しながら出て来ました。 「いや、先刻は気の毒。どうも年をとると一徹になってな。はゝゝゝゝ。」 だん/\聴いてみると、この組がしらの老人、ほら....
遺書」より 著者:尾崎秀実
感謝しております。そうして「心からお気の毒であったと思っている」とお伝え下さい。一徹な理想家というものと、たまたま地上で縁を結んだ不幸だとあきらめてもらう他あり....
姉川合戦」より 著者:菊池寛
たる家康に撰み出されたる稲葉伊予守の面目、思うべしである。 稲葉伊予守は、稲葉一徹で美濃三人衆の一人で、斎藤家以来名誉の士だ。茶室で信長に殺されかけたのを、床....
桶狭間合戦」より 著者:菊池寛
の一端を伺うに足りる。 しかし武断一点張りでなかった事は、暗殺しようとした稲葉一徹が、かの『雪擁藍関』の詩をよく解したと云う一点で許した如き、義元が一首の和歌....
エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
すくなくとも、アントニイはそう思った。――若いくせに通風病患者で、気むずかしやの一徹者であるアントニイだった。しかしフランシスの想像力はもっと複雑なものだった。....
中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
めた熱意の泉は、当時の公卿の中からは湧き出なかったものと私は推測している。正徹の一徹と尭孝の高くとまった強情とも、同じように公家の間のものではない。そして、正徹....