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一息
「一息〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
一息の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「鼻」より 著者:芥川竜之介
分ばかりの長さにぬけるのである。
やがてこれが一通りすむと、弟子の僧は、ほっと
一息ついたような顔をして、
――もう一度、これを茹でればようござる。
と云っ....
「十円札」より 著者:芥川竜之介
い。どうもいろいろ考えて見ると、拝借した方が好《い》いようですから。」
保吉は
一息にこう言った。粟野さんは何とも返事をせずに立ち上ったように覚えている。しかし....
「尼提」より 著者:芥川竜之介
い路である。彼は後《うしろ》を振り返って如来の来ないのを確かめた上、始めてほっと
一息《ひといき》した。如来は摩迦陀国《まかだこく》の王子であり、如来の弟子たちも....
「おぎん」より 著者:芥川竜之介
皮肉は爛《ただ》れるにしても、はらいそ(天国《てんごく》)の門へはいるのは、もう
一息の辛抱《しんぼう》である。いや、天主の大恩を思えば、この暗い土の牢さえ、その....
「路上」より 著者:芥川竜之介
れらの芸術家の外聞《がいぶん》も顧慮してやりたい気もちがあった。そこで彼は大井が
一息ついたのを機会《しお》にして、切符と引換えに受取ったプログラムを拡げながら、....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
《さかもり》を開き始めた。彼は始は唖《おし》のように、ただ勧《すす》められる盃を
一息にぐいぐい飲み干していた。が、酔《よい》がまわって来ると、追いおい大きな声を....
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
ば》彼をメランコリアに沈ましめたと云うことである。すると王城を忍び出た後、ほっと
一息ついたものは実際将来の釈迦無二仏《しゃかむにぶつ》だったか、それとも彼の妻の....
「馬の脚」より 著者:芥川竜之介
後《あと》ずさりをやめることが出来た。しかし不思議はそれだけではない。俺はほっと
一息しながら、思わず馬車の方へ目を転じた。すると馬は――馬車を牽《ひ》いていた葦....
「運」より 著者:芥川竜之介
ろ経営《けいえい》してくれたそうでございます。そこで、娘も漸《ようや》く、ほっと
一息つく事が出来ました。」
「私も、やっと安心したよ。」
青侍《あおざむらい》....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
か。」と、相手を促した時の事でした。何気なくそのコップをとり上げた新蔵が、ぐいと
一息に飲もうとすると、直径二寸ばかりの円を描いた、つらりと光る黒麦酒の面に、天井....
「或る女」より 著者:有島武郎
の皮を着たこの好色の野獣のなぶりものにされているのではないか。自分の身も心もただ
一息にひしぎつぶすかと見えるあの恐ろしい力は、自分を征服すると共にすべての女に対....
「歯車」より 著者:芥川竜之介
ずには措かなかった。三番目に封を切った手紙は僕の甥から来たものだった。僕はやっと
一息つき、家事上の問題などを読んで行った。けれどもそれさえ最後へ来ると、いきなり....
「杜子春」より 著者:芥川竜之介
絶壁の松が、さっきの通りこうこうと枝を鳴らしているばかりなのです。杜子春はほっと
一息しながら、今度はどんなことが起るかと、心待ちに待っていました。 すると一陣....
「トロッコ」より 著者:芥川竜之介
すと、トロッコの上へ飛び乗った。トロッコは最初|徐ろに、それから見る見る勢よく、
一息に線路を下り出した。その途端につき当りの風景は、忽ち両側へ分かれるように、ず....
「狂人日記」より 著者:秋田滋
。心臓の皷動は前より早くなった。少々残酷だとは思ったが、気持が好かった。私はもう
一息で小鳥の息の根を止めるところだった。が、そのまま死なせては血が見られないこと....