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一握
「一握〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
一握の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
、すさまじい地響きとともに、何百丈の高さから一気になだれ落ちる。巓を離れた時には
一握りの銀末に過ぎない。それが見る見る大きさを増して、隕星のように白い尾を長く引....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
に駈けつけたが、室へ入口で、思わず釘附にされたようになった。 バサリと音して、
一握の綿が舞うように、むくむくと渦くばかり、枕許の棚をほとんど転って飛ぶのは、大....
「隣の嫁」より 著者:伊藤左千夫
三、四年以来の作だ。三十俵つけ一まちにまとまった田に一草の晩稲を作ってある。一株
一握りにならないほど大株に肥えてる。穂の重みで一つらに中伏に伏している。兄夫婦は....
「野菊の墓」より 著者:伊藤左千夫
民子は聞えないのかさっさと先へゆく。僕は一寸|脇《わき》へ物を置いて、野菊の花を
一握り採った。 民子は一町ほど先へ行ってから、気がついて振り返るや否や、あれッ....
「食魔」より 著者:岡本かの子
雫の玉がブリキ屑に落ちたかしてぽとんという音がした。器用な彼はそれでも少しの間に
一握りほどの雑魚を漁り得る。持って帰ると母親はそれを巧に煮て、春先の夕暮のうす明....
「百喩経」より 著者:岡本かの子
無断で貰ってやれ、こういう気持ちに動かされて五本の指先をザクリと米に突込んでその
一握りを口に頬張ったのだ。この無断は、咄嗟な振舞いがいかに作太郎をして巻子の実家....
「ルバイヤート」より 著者:小川亮作
塚蟻にでも野の狼にでも食われるがいい。 41 一滴の水だったものは海に注ぐ。
一握の塵だったものは土にかえる。 この世に来てまた立ち去るお前の姿は 一匹の蠅―....
「審判」より 著者:カフカフランツ
てすわるかして、きっと耳が遠いからだろうが、少し机の上に前かがみになり、髯の中の
一握りの束をしごき、絨毯の上に眼差を投げていたが、どうもちょうどKがレーニといっ....
「愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
いい「ただ善き人の教へを聞いて信ずるより別に仔細はない」といいほとんど無理にでも
一握の藁にしがみついてるほどにさえ見ゆる。ただ一条に助けられたかったのである。苦....
「鴎外の思い出」より 著者:小金井喜美子
色の砂を入れた袋が置いてあります。人が集りますと、何やら口上をいいながら、袋から
一握りの砂を出して、人の方へ向けてずんずん書き始めますが、字もあり絵もあり、その....
「万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
いうぐらいの意で、「藻臥」は藻の中に住む、藻の中に潜むの意。「束鮒」は一束、即ち
一握り(二寸程)ぐらいの長さをいう。この結句の造語がおもしろいので選んで置いた。....
「牛」より 著者:坂口安吾
見ただけで胸騒ぎがするような特別の顔をしていた。鼻も、頬も、顎もとがり、顔全体が
一握りほどの小ささで、蒼ざめているのであった。 光也はその娘と云い交した事実は....
「金銭無情」より 著者:坂口安吾
した。 宿六はお勝手へ這ひ下りて、まさに水道をひねらうとしてゐる。出がけにもう
一握りの灰を鼻の孔にぶつかけ、オカユのはいつた鍋を頭へグシャリとかぶせて、とびだ....
「巷談師」より 著者:坂口安吾
識のうち。その他、多々あり、としておこうよ」 男は枕もとから一山の紙をザックと
一握りして、投げてよこした。各地の競輪新聞である。関東各地のほかに、岐阜、鳴尾、....
「帝銀事件を論ず」より 著者:坂口安吾
は一本の薪、一片の炭が隣人にかすめ盗られることを憂い、いな、親兄弟が配給の食膳の
一握りの多寡を疑い、子は親に隠して食い、親は子の備蓄を盗み、これをしも魂の荒廃、....