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一昔
「一昔〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
一昔の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
昔知って居た或人に余り能く似て居ますから、其の人が来たのかと思いました、ナニ最う
一昔以前の事ですから、少し考えさえすれば其の人が貴女の様に、若く美しくて居る筈は....
「耽溺」より 著者:岩野泡鳴
お袋はいないし、おやじは僕を避けている。婆アやも狭い台どころへ行って見えない。
一昔も過ぎたかのように思われる国府津のことが一時に僕の胸に込みあがって来て、僕は....
「聖アレキセイ寺院の惨劇」より 著者:小栗虫太郎
と、父の変死を伝えても、姉妹二人には睫毛の微動すら見られなかったことである。 「
一昔前は神父フリスチァンと呼ばれた父が変死を遂げても、それが当然だと申さなくては....
「忘れえぬ人々」より 著者:国木田独歩
阪から例の瀬戸内通いの汽船に乗って春海波平らかな内海を航するのであるが、ほとんど
一昔も前の事であるから、僕もその時の乗合の客がどんな人であったやら、船長がどんな....
「薬草取」より 著者:泉鏡花
けれども不残事実で。 私が以前美女ヶ原で、薬草を採ったのは、もう二十年、十年が
一昔、ざっと二昔も前になるです、九歳の年の夏。」 「まあ、そんなにお稚い時。」 ....
「露肆」より 著者:泉鏡花
に、乳の下あたり膨りとしたのは、鼻紙も財布も一所に突込んだものらしい。 ざっと
一昔は風情だった、肩掛というのを四つばかりに畳んで敷いた。それを、褄は深いほど玉....
「星女郎」より 著者:泉鏡花
三造の過ったのは、新道……天田越と言う。絶頂だけ徒歩すれば、俥で越された、それも
一昔。汽車が通じてからざっと十年になるから、この天田越が、今は既に随分、好事。 ....
「華々しき瞬間」より 著者:久坂葉子
、建介は妻の美貌を人から羨まれて来たことにのみ、妻の性能を認めてしまった。それも
一昔。今は何も妻にはないのだが、しかし、戸籍上、夫婦であり、人の認める夫婦でもあ....
「安吾巷談」より 著者:坂口安吾
日本共産党にもある。正しいプロレタリヤであるには、貧乏な生活をしなければならぬ。
一昔前のプロレタリヤ理念は明確にそうであり、貧乏を誇りにさえしていた。生活水準を....
「アーニイ・パイルの前に立ちて」より 著者:小林一三
やその将来を杞憂するからである。 帝劇に夢みた私の計画 十年は
一昔、丁度十年前に、私は、巴里の国立劇場グランドオペラに開催された海軍兵学校の慈....
「葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
く繰返す。連夜の川施餓鬼は、善か悪か因縁があろうと、この辺では噂をするが、十年は
一昔、二昔も前から七兵衛を知ってるものも別に仔細というほどのことを見出さない。本....
「ハイカラ考」より 著者:木村荘八
三高地」と呼ばれた。この二百三高地・廂髪が一口に「ハイカラ」と呼ばれるに至って、
一昔前に男ぞろいの、その伊達者達の、卓上一夕の奇語から起った言葉が、思いきや、女....
「当今の劇壇をこのままに」より 著者:岡本綺堂
では来ている、昨年、歌舞伎座と市村座で骨寄せの岩藤を演じたが、先代菊五郎の演った
一昔の前には見物は喜んで見ていたのが、今では骨が寄るのを見ると、いずれも見物は笑....
「叔父と甥と」より 著者:岡本綺堂
この夕、少しく調ぶることありて、熊谷陣屋の浄瑠璃本をとり出して読む。十六年は
一昔、ああ夢だ夢だの一節も今更のように身にしみてぞ覚ゆる。わが英一は熊谷の小次郎....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
たい。」 「もう止した。幽霊の重荷は御免だよ。それにとても間にあいそうにない。第
一昔の歌ばかり改訂していたんでは、何のために旅行に出たかわからなくなる。陰鬱にな....