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「一木一草〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

一木一草の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
二十世紀旗手」より 著者:太宰治
の庭さきに立ちて、ちりりんと鈴の音にさえわが千万無量のかなしみこめて、庭に茂れる一木一草、これが今生《こんじょう》の見納め、断絶の思いくるしく、泣き泣き巡礼、秋....
断崖の錯覚」より 著者:黒木舜平
の刺すようなよろこびに、私はうかされて了ったのであろう。新進作家になってからは、一木一草、私にとって眼あたらしく思えるのだった。海岸をステッキ振り振り散歩すれば....
科学者と芸術家」より 著者:寺田寅彦
って複雑な事象をその要素に分析する心の作用がなければなるまい。もしそうでなければ一木一草を描き、一事一物を記述するという事は不可能な事である。そしてその観察と分....
旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
です。 だが、人の心に巣喰う退屈は、恋の病共々四百四病のほかのものに違いない。一木一草そよ吹く風すら、遠つ御祖の昔思い偲ばれて、さだめしわが退屈男も心明るみ、....
帰去来」より 著者:太宰治
たかも知れない。私は手を洗ってからも、しばらくそこに立って窓から庭を眺めていた。一木一草も変っていない。私は家の内外を、もっともっと見て廻りたかった。ひとめ見て....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
捲いてしまったというのは、物の名をつけるのは、八兵衛、太郎兵衛でさえむずかしい、一木一草にでさえ、しかるべき雅名を与えるのは容易なことではない、おのおのの持ち分....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
した。 「切る方はせいぜい切らしていただいて、カラカラカラッと景気よく……ナニ、一木一草をも愛護して下さいだって、木を傷つける人があったら止めて下さいだって……....
日本文化私観」より 著者:坂口安吾
から下まで、空壕の中も、一面に、爆破した瓦が累々と崩れ重っている。茫々たる廃墟で一木一草をとどめず、さまよう犬の影すらもない。四周に板囲いをして、おまけに鉄条網....
科学上における権威の価値と弊害」より 著者:寺田寅彦
信用の出来る案内者はあり得べからざるものである。如何に精密なる参謀本部の地図でも一木一草の位置までも写したものはない。たとえ測量の際には正確に写したものでも、山....
ヴェルダン」より 著者:野上豊一郎
見て姉崎先生は感慨に耽っていられた。先生が一九一八年に訪問された時には、此の辺は一木一草もなくなっていたそうだが、二十年の間にひこばえがこれだけに成長したものと....
魔都」より 著者:久生十蘭
蓄音器のように急にハタと黙り込んで了った。園丁長は一方心の優しい人物でこの公園の一木一草ことごとく自分の友人だと思っているのだから、この時感嘆の余り思わず噴水の....
二人の盲人」より 著者:平林初之輔
包んでいた。彼にとっては、それが全世界だった。狭い家の中の様子はもとより、庭内の一木一草に至るまで彼の死んだ網膜の底に、二十年前のままの新鮮さをもって、焼きつけ....
深川の散歩」より 著者:永井荷風
である。) 今日の深川は西は大川の岸から、東は砂町《すなまち》の境に至るまで、一木一草もない。焼跡の空地に生えた雑草を除けば、目に映ずる青いものは一ツもない。....
棚田裁判長の怪死」より 著者:橘外男
いたことだったでしょうか? 見るもの聞くもの懐かしからざるはありませんが、同時に一木一草のたたずまいにも、昔と何の異なるところもないのを見ると、こんな狭い土地で....
児童の解放擁護」より 著者:小川未明
るものもあるのだ。かりに、これを借りることも、規律正しく使用するに於ては、ために一木一草を損うことなくすむであろう。 かゝる正義の行使は、今日の社会として、当....