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一杯一杯
「一杯一杯〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
一杯一杯の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
したものでしたから、まことに春先ののぼせ引き下げにはこれこそ天下一品の適薬です。
一杯一杯と浴びるごとに、しだいしだいと心が静まったとみえて、ややしばし少年がきょ....
「吾輩は猫である」より 著者:夏目漱石
ずに一杯を附加した。姉がまた壺へ手を懸ける、妹がまた匙をとる。見ている間《ま》に
一杯一杯一杯と重なって、ついには両人《ふたり》の皿には山盛の砂糖が堆《うずたか》....
「海に生くる人々」より 著者:葉山嘉樹
用事が済むと、室のまん中に立っている柱に添うて上につり上げられるにしても、やはり
一杯一杯であった。そして道具置き場は、その食卓の下をくぐって、船首のとがったとこ....
「空襲葬送曲」より 著者:海野十三
んな」長造は微苦笑して、末ッ子達を押えた。 「お父様は、お前達を大きくするので、
一杯一杯だよ。皆が、もすこししっかりして、心配の種を蒔かないで呉れると、もっと働....
「縮図」より 著者:徳田秋声
に約束し、権利金や品物の仕入れの金も見積もって、算盤を弾いていたが、内輪に見ても
一杯一杯であり、銀子自身には何もつかなかった。 「お前も寂しいだろ、当座の小遣少....
「雪之丞変化」より 著者:三上於菟吉
、見向きもしてくれる人はないと思っているよ。さあ、お坊さん、お酌、女のあたしが、
一杯一杯のやりとりはきつすぎる――まあ、お重ねな」
すすめ上手に、いつか、法印....
「谷より峰へ峰より谷へ」より 著者:小島烏水
底からも銀色をした雲が、むらむら湧いて来る、丹念に桑の葉に、杞杓の水をかけては、
一杯一杯泥を洗い落している、共稼ぎらしい男女もある、穂高山と乗鞍岳は、窓から始終....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
は向うへ向けて売り物にならないから片交易だ。 忠作は、こんなことを考えながら、
一杯一杯と好きでもないビールを呑んでいるところへ、突然|扉《ドア》を叩く者がある....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
なり長いあいだ沈黙が続いたが――仏頂寺はそれでも酒をやめるのではなく、苦り切って
一杯一杯と重ねている。 大いに浮れを発するつもりの丸山勇仙までが、いつのまにか....
「鳴雪自叙伝」より 著者:内藤鳴雪
陽の天草洋や文天祥の正気歌などで、就中尤もよく吟じたのは李白の『両人対酌山花開、
一杯一杯復一杯、我酔欲眠卿且去、明朝有意抱琴来。』を繰返し繰返し吟じたのは、今も....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
してかくから自分のためにもなり、一般のためにもなります。『文芸』のもつづけます。
一杯一杯ね、今月はこれで。一月になってからは小説をゆっくりかきたいのです、あの、....
「随筆 新平家」より 著者:吉川英治
なり)の後、祝杯をあげる。その満悦ぶり、鯉の吹流しみたいですな、と川辺さん云ふ。
一杯一杯。側で見ていても、実に愉快さうなり。貴重な水が身体の各部分へ公平に配分さ....