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「一波〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

一波の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
婦系図」より 著者:泉鏡花
、髷を真向きに、毛筋も透通るような頸を向けて、なだらかに掛けた小掻巻の膝の辺に、一波打つと、力を入れたらしく寝返りした。 四十七 「似合った、似合....
海異記」より 著者:泉鏡花
見ねえな、のたりと天上まで高くなって、嶽の堂は目の下だ。大風呂敷の山じゃねえが、一波越すと、谷底よ。浜も日本も見えやしねえで、お星様が映りそうで、お太陽様は真蒼....
海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
帰るであろう。 ◯ベルリン陥落乃至はドイツ休戦申入れをめぐって、英米ソの間にまた一波瀾ありそうだ。 ◯ドイツ亡ばんとす。巷間「ドイツはかわいそうですね」「ヒット....
蟹工船」より 著者:小林多喜二
ケラのように甲板に這いつくばって働いている雑夫や漁夫の顔や手に突きささった。波が一波甲板を洗って行った後は、すぐ凍えて、デラデラに滑った。皆はデッキからデッキへ....
谷より峰へ峰より谷へ」より 著者:小島烏水
しかろうと思われる。 鋸歯のような岳川岳から、ここ穂高岳に列なっている岩壁は、一波が動いて幾十の波が、互い違いに肩を寄せつけながら、大|畝ねりに畝ねって、頭を....
貝の穴に河童の居る事」より 著者:泉鏡花
まで、膚ざわりのただ粗い、岩に脱いだ白足袋の裡に潜って、熟と覗いていたでしゅが。一波上るわ、足許へ。あれと裳を、脛がよれる、裳が揚る、紅い帆が、白百合の船にはら....
浮かぶ飛行島」より 著者:海野十三
いくら闇夜であっても、後続艦があるとないとは、すぐ分かる。後続艦があれば、第一波の騒方がちがう。そいつは耳で聞きわけるのだ。それから、またエンジンの音がかす....
沼夫人」より 著者:泉鏡花
を掠める。 ごほんと、乾咳を咳いて、掻巻の襟を引張ると、暗がりの中に、その袖が一波打って煽るに連れて、白い蔽に、襞※が入って、何だか、呼吸をするように、ぶるぶ....
化鳥」より 著者:泉鏡花
だったから、堪りはしない。石の上へ辷って、ずるずると川へ落ちた。わっといった顔へ一波かぶって、呼吸をひいて仰向けに沈んだから、面くらって立とうとすると、また倒れ....
ムツェンスク郡のマクベス夫人」より 著者:神西清
ォーヴナが、玄関をとり巻いている群衆の頭ごしに見渡すと、高い塀を乗り越え引っ越え一波また一波と、見知らぬ連中が屋敷うちへなだれ込んでくる。往来はまた往来で、人ご....
葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
いて二三尺離れて流れる、途端に思うさま半身を乗出したので反対の側なる舷へざぶりと一波浴せたが、あわよく手先がかかったから、船は人とともに寄って死骸に密接すること....
空中征服」より 著者:賀川豊彦
長として数ヶ月の椅子を占め得るならば、再び、新理想主義の都市計画を立てて、市会に一波瀾起さねばならぬと考えた。彼はまた、家屋の建築法にしても、今日のようなブロザ....
仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
の実体方面で常に不増不減のところを指します。因果差別とは、物事の表面の現れ方で、一波万波を呼び、善悪相闘い、目まぐるしい凹凸のある方面を指します。 イギリスの....
戦争史大観」より 著者:石原莞爾
すらその禍を蒙る有様であった。 ボーリューは十二日の敗報を受けてもこれは戦場の一波瀾ぐらいに考え、その後逐次敗報を得るも一拠点を失ったに過ぎないとし、側方より....
黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
私の心の動揺だった。緊張した神経繊維の末端はこの窮窟な肉体を衝き破って、仄に光る一波の閃きにもピリピリ顫えている恣な大気の分子――神経繊維と抱き合おうとする、恐....