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一片
「一片〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
一片の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「湖南の扇」より 著者:芥川竜之介
。」
僕は勿論首を振った。譚は大声に笑ってから、今度は隣の林大嬌ヘビスケットの
一片を勧めようとした。林大嬌はちょっと顔をしかめ、斜めに彼の手を押し戻した。彼は....
「西郷隆盛」より 著者:芥川竜之介
のあたりを眺めた。
「こう云う事実に比べたら、君の史料の如きは何ですか。すべてが
一片の故紙《こし》に過ぎなくなってしまうでしょう。西郷隆盛は城山で死ななかった。....
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
ものだった。――宮本武蔵伝読後。
ユウゴオ
全フランスを蔽《おお》う
一片のパン。しかもバタはどう考えても、余りたっぷりはついていない。
ドス....
「百合」より 著者:芥川竜之介
る。百合《ゆり》の話もそう云う時にふと彼の心を掠《かす》めた、切れ切れな思い出の
一片《いっぺん》に過ぎない。
今年|七歳《しちさい》の良平は生まれた家の台所....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
た。仁右衛門はやがてぶらりと小屋を出た。妻は独りで淋しく夕飯を食った。仁右衛門は
一片の銀貨を腹がけの丼《どんぶり》に入れて見たり、出して見たり、親指で空に弾《は....
「星座」より 著者:有島武郎
所なくして、あえてこの無一物裡に一物を庶幾《しょき》し来れるにあらざらんや。庭辺
一片の食なし。かりに彼を屋内に招かば、狂弟の虐殺するところとならんのみ。我れの有....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
。 この出船の時の人々の気組み働きは、だれにでも激烈なアレッグロで終わる音楽の
一片を思い起こさすだろう。がやがやと騒ぐ聴衆のような雲や波の擾乱の中から、漁夫た....
「かんかん虫」より 著者:有島武郎
り甘めえ汁を嘗めているらしいや。暑さにもめげずにぴんぴんしたものだ。黒茶にレモン
一片入れて飲め無えじゃ、人間って名は附けられ無えかも知れ無えや。 昨夕もよ、空....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
獄と化して行く……。そしてかかる惨劇の起る動機はと問えば、多くは地上の権力者の只
一片の野心、只一場の出来心に過ぎないのである。 嗚呼友よ! 地上の人類は、まだ....
「格さんと食慾」より 著者:芥川竜之介
じた。あの顔は頬から耳のあたりをコオルド・ビフのように料理するが好い。皿に載せた
一片の肉はほんのりと赤い所どころに白い脂肪を交えている。が、ちょっと裏返して見る....
「ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
この液を作ってくれたので、自分がやって見せた。ファラデーの眼前で。まずその金属の
一片をとって、前後に曲げて見、それから液に漬け、指の間に入れて破って見た。この間....
「親ごころ」より 著者:秋田滋
正午の野良で、一株の木のまわりに集って弁当をつかっている百姓の一団を見かけると、
一片の麪麭をねだった。そして二人は、溝のふちにしょんぼり肩を並べて坐って、黙々と....
「狂人日記」より 著者:秋田滋
も係りを持たない。その足と大地との間には何のつながりも無い。地上にうごめく生命の
一片。しかも、どこから来たのか、とんと見当がつかぬその生命の
一片は、思いのままに....
「浅沼稲次郎の三つの代表的演説」より 著者:浅沼稲次郎
た、吉田内閣は、これのみにとどまらず、警察法の改正によって、地方自治団体の財産を
一片の法令によって、国家に取りあげ、憲法の精神を蹂躪せんとしておるのであります。....
「私の履歴書」より 著者:浅沼稲次郎
されたのである。これがなんと結党して三時間後のことだった。 半歳にわたる苦労は
一片の禁止令によってふっとんだ。私は横暴な弾圧に心からの憤激を覚え、いうべき言葉....