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「一瞬間〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

一瞬間の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
伝吉の敵打ち」より 著者:芥川竜之介
心に描《えが》いていたよりもずっと憔悴《しょうすい》を極めていた。伝吉はほとんど一瞬間人違いではないかと云う疑いさえ抱いた。しかしもう今となってはためらっていら....
玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
?――しかし玄鶴は置き時計を見、彼是《かれこれ》正午に近いことを知った。彼の心は一瞬間、ほっとしただけに明るかった。けれども又いつものように忽《たちま》ち陰欝《....
」より 著者:芥川竜之介
しそうに切れ切れな声を洩らした。 「あの手紙は、――まさか、――房子だけは――」一瞬間の後陳彩は、安々《やすやす》塀を乗り越えると、庭の松の間をくぐりくぐり、首....
神神の微笑」より 著者:芥川竜之介
ように花を煙らせていた。 「御主《おんあるじ》守らせ給え!」 オルガンティノは一瞬間、降魔《ごうま》の十字を切ろうとした。実際その瞬間彼の眼には、この夕闇に咲....
或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
ぶったが、ちらりと見た顔貌《かおかたち》は瀬沼兵衛に紛《まぎ》れなかった。左近は一瞬間ためらった。ここに求馬が居合せないのは、返えす返えすも残念である。が、今兵....
袈裟と盛遠」より 著者:芥川竜之介
に堪えなかったのであろうか。そうしてあの人の胸に顔を当てる、熱に浮かされたような一瞬間にすべてを欺こうとしたのであろうか。さもなければまた、あの人同様、私もただ....
奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
を抱《だ》きとった。犬は彼女の手の内に、ぶるぶる体を震《ふる》わせていた。それが一瞬間過去の世界へ、彼女の心をつれて行った。お蓮はあの賑かな家《うち》にいた時、....
お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
んでしまう。すると姉や浅川の叔母が、親不孝だと云って兄を責める。――こんな光景も一瞬間、はっきり眼の前に見えるような気がした。 「今日届けば、あしたは帰りますよ....
おしの」より 著者:芥川竜之介
「それはちと無理かと存じますが……」 「ではそこへ案内して下さい。」 女の眼に一瞬間の喜びの輝いたのはこの時である。 「さようでございますか? そうして頂けれ....
素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
。」と相手を呼んだ。 猪首《いくび》の若者は逡巡《しゅんじゅん》した。少くとも一瞬間は、凄壮そのもののような彼の姿に一種の威圧を感じたらしかった。が、これもす....
少年」より 著者:芥川竜之介
はなぜか四歳《しさい》の保吉の心にしみじみと寂しさを感じさせた。「お父さん」――一瞬間帆前船を忘れた彼は思わずそう呼びかけようとした。けれども二度目の硝子戸の音....
将軍」より 著者:芥川竜之介
を見上げながら、正しい挙手の礼をした。 「露探《ろたん》だな。」 将軍の眼には一瞬間、モノメニアの光が輝いた。 「斬れ! 斬れ!」 騎兵は言下《ごんか》に刀....
俊寛」より 著者:芥川竜之介
に倒れたが、それぎり二度と乗ろうともせぬ。ただおいおい泣くばかりじゃ。おれはあの一瞬間、康頼《やすより》にも負けぬ大嗔恚《だいしんい》を起した。少将は人畜生《じ....
馬の脚」より 著者:芥川竜之介
る。――半三郎は何かに追われるように社宅の玄関へ躍《おど》り出た。それからほんの一瞬間、玄関の先に佇《たたず》んでいた。が、身震《みぶる》いを一つすると、ちょう....
トロッコ」より 著者:芥川竜之介
な。おれたちは今日は向う泊りだから」 「あんまり帰りが遅くなるとわれ」 良平は一瞬間|呆気にとられた。もうかれこれ暗くなる事、去年の暮母と岩村まで来たが、今日....