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一筋
「一筋〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
一筋の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
《すいかん》の袖《そで》を裂いて、うつむけにがくりと倒れた。たかうすびょうの矢が
一筋、颯然《さつぜん》と風を切りながら、ひとゆりゆって後頭部へ、ぐさと箆深《のぶ....
「母」より 著者:芥川竜之介
の膝《ひざ》から、毛糸の球《たま》が転げ落ちた。球はとんと弾《はず》むが早いか、
一筋の赤を引きずりながら、ころころ廊下《ろうか》へ出ようとする、――と思うと誰か....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
には、彼の射る白羽の矢ばかりが、まるで昼見える流星《りゅうせい》のように、たった
一筋空へ上るようになった。
その内に彼も弓を止めて、得意らしい色を浮べながら、....
「藪の中」より 著者:芥川竜之介
見えなかったか? いえ、何もございません。ただその側の杉の根がたに、縄《なわ》が
一筋落ちて居りました。それから、――そうそう、縄のほかにも櫛《くし》が一つござい....
「或る女」より 著者:有島武郎
、苦《にが》い涙を泣き始めた。
懺悔《ざんげ》の門の堅く閉ざされた暗い道がただ
一筋、葉子の心の目には行く手に見やられるばかりだった。
三四
ともかくも一....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
っていた。草原の上には一本の樹木も生えていなかった。心細いほど真直《まっすぐ》な
一筋道を、彼れと彼れの妻だけが、よろよろと歩く二本の立木のように動いて行った。
....
「星座」より 著者:有島武郎
ほったん》は判らない。
「中島を見ろ、四十五まであの男は木刀一本と褌《ふんどし》
一筋の足軽風情だったのを、函館にいる時分何に発心したか、島松にやってきて水田にか....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
len ではない。二つの道の間に選ぶためにこそ努力は必要とせられるけれども、唯|
一筋道を自由に押し進むところに何の努力の助力が要求されよう。 私は創造の為めに....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
踞まった、形のない、ものの影を、腰掛くるよう、取って引敷くがごとくにした。 路
一筋白くして、掛行燈の更けたかなたこなた、杖を支いた按摩も交って、ちらちらと人立ちする。 明治四十三(一九一〇)年一月....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
つべく顕われたから、怪しいまで人の目を驚かした。が、話の続きでも、学生を悩ました
一筋の黒髪とはいささかも関係はない。勿論揃って男で、変な人で、三人である。 並....
「伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
をと思うに似ず、寂莫として、ただ夫人のものいうと響くのが、ぶるぶると耳について、
一筋ずつ髪の毛を伝うて動いて、人事|不省ならんとする、瞬間に異ならず。 同時に....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
どこぞ他に路がないんでしょうか。」 「海ならあります。ここいらは叔母さん、海岸の
一筋路ですから、岐路といっては背後の山へ行くより他にはないんですが、」 「困りま....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
致しました。 岩屋の入口には、神様の言われましたとおり、果たして新しい注連縄が
一筋張ってありました。 一と通り見物が済むと、私達は再び岩屋の内部へ戻って来ま....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
いのである。 真の幸福を掴もうと思わば、道に協い、我慾から離れたる生活を、ただ
一筋に儼守するのみである。幸福は合理的生活の所産であり、これと同様に、不幸は有形....
「県歌 信濃の国」より 著者:浅井洌
本武 嘆き給いし碓氷山 穿つ隧道二十六 夢にも越る汽車の道 みち
一筋に学びなば 昔の人にや劣るべき 古来山河の秀でたる 国は偉人のある習い....