一膳飯[語句情報] » 一膳飯

「一膳飯〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

一膳飯の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
真景累ヶ淵」より 著者:三遊亭円朝
見ると御休所《おんやすみどころ》煮染《にしめ》酒と書いてありまするのは、いかさま一膳飯ぐらいは売るのでござりまする。丁度其の日の申刻《なゝつ》下《さが》り、日は....
硝子戸の中」より 著者:夏目漱石
あった。私はこうしたありのままの昔をよく思い出す。その半鐘のすぐ下にあった小さな一膳飯屋《いちぜんめしや》もおのずと眼先に浮かんで来る。縄暖簾《なわのれん》の隙....
坑夫」より 著者:夏目漱石
に立ち戻ったと説明したら善く呑《の》み込めるだろう。さて空腹にはなったが、最後の一膳飯屋《いちぜんめしや》はもう通り越している。宿《しゅく》はすでに尽きかかった....
道草」より 著者:夏目漱石
》した。 ある時の彼はまた馭者《ぎょしゃ》や労働者と一所に如何《いかが》わしい一膳飯屋《いちぜんめしや》で形《かた》ばかりの食事を済ました。其所の腰掛の後部《....
十二支考」より 著者:南方熊楠
いわく、数年前エールス人ダヴッド・ロイドが、ヒャーフォードで、六脚ある牝豕をその一膳飯店に飼ったからたまらない。見物かたがた飲食に出掛ける人|引《ひき》も切らず....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
籠はまたしても置き放されて、人の罵《ののし》る声がやかましい。駕籠屋どもは昼食に一膳飯へでも入ったのだろう。相変らず約束を守って、兵馬には飲めとも食えともいわな....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
「島原はまはり土塀《どべい》にて甚だ淋し、中《なか》の町《ちょう》と覚しき所、一膳飯《いちぜんめし》の看板あり」 とあって、それよりやや降《くだ》り、 「....
のろのろ砲弾の驚異」より 著者:海野十三
士の住居は、南京路でも一等値段がやすく、そして一等|繁昌している馬環という下等な一膳飯屋の地下にあるのだ。 「さあ、ここがその馬環です。どうです、たいへんな繁昌....
伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
なぞとおっしゃって、夜遊びをなすって、とんだ若様でござります。どうして婆々が家の一膳飯がお口に合いますものでござります。ほほほほ。」 「時に、三由屋という旅籠は....
黒百合」より 著者:泉鏡花
思議じゃねえようなものの、空樽の腰掛だね、こちとらだって夏向は恐れまさ、あのそら一膳飯屋から、横っちょに駆出したのが若様なんです。え、滝先生、滝公、滝坊、へん滝....
一利己主義者と友人との対話」より 著者:石川啄木
るのもそれだ。 A 何だい、うまい物うまい物って言うから何を食うのかと思ったら、一膳飯屋へ行くのか。 B 上は精養軒の洋食から下は一膳飯、牛飯、大道の焼鳥に至る....
宮本武蔵」より 著者:吉川英治
に、待ちぬいていた。 十一日の午頃である。 門司ヶ関から小倉へはいる城下口の一膳飯屋の前を、乳呑み児をあやしながら、行きつ戻りつしている女がある。 つい先....