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「一財〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

一財の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
わが町」より 著者:織田作之助
が、儲けた人も随分多く、谷町九丁目のメタル細工屋の丁稚は、純白の十姉妹を捕えて、一財産つくり、大島の対を着て、丹波へ帰って行ったと、大変な評判であった。 ある....
縮図」より 著者:徳田秋声
、長くこの冒険事業に従事するつもりはなく、二十六歳の現在から、十年余りも働いて、一財産造り、陸へ上がって生涯の方嚮を決める肚であった。 話がはずんているところ....
猫車」より 著者:宮本百合子
用も傷つけた揚句やめてから、僅か四五年あとにやりはじめた佐伯は、同じ事業で今では一財産をつくった。 屋敷は荒廃して、昔代々そこで油を搾っていた作業場は、元のと....
新釈諸国噺」より 著者:太宰治
く思い、よし、よし、いまはこのようにみじめだが、この子の物心地のつく迄は、何とか一財産つくって古里の親たちを見かえしてやらなければならぬ、と次郎右衛門も、子への....
やんぬる哉」より 著者:太宰治
い顔の親父になって、町会議員やらお百姓さんやら校長先生やらになりすまし、どうやら一財産こしらえた者みたいに落ちつき払っている。しかし、だんだん話合ってみると、私....
踊る地平線」より 著者:谷譲次
しく、一同かぎりなく口惜しがっていた。ただ、私の知っている範囲では、これによって一財産つくった人が世界にふたりある。ひとりは、言うまでもなく馬の所有主ユウゴウ・....
小公女」より 著者:菊池寛
かもしれないのだ。」 「いや、そう昂奮なさらないで。あの子が見付かりさえすれば、一財産渡してやれるのだと思って、お気を静めて下さい。」 「あれは、いつも娘のこと....
獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
風邪はあとが大変長びきます。呉々もお大切に。 『フランス敗れたり』あれで大観堂は一財産をこしらえたそうです。歴史の何の真のモメントにもふれていない。ふれ得る男で....
宝島」より 著者:佐々木直次郎
きしたくらいであった。 次の日もまた次の日もこの作業が続いた。毎日夕方になると一財産が船に積み込まれるのだが、しかし次の一財産が翌朝を待っているのだった。そし....
レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
わずかな金を、巧みな考案の実施に使い、だんだん注意してそれを殖《ふや》し、ついに一財産を作り上げ、またその地方全体を富ましたのだった。 モントルイュ・スュール....
餅のタタリ」より 著者:坂口安吾
い池のある農家があった。その池には先祖からの鯉がいっぱい泳いでいて、それだけでも一財産だと云われているほどの池だから、この家はいつのころからか円池サンという通称....
勧善懲悪」より 著者:織田作之助
く、儲かった。お前は有頂天になり、 「もうおかね婆さんさえしっかり掴まえて置けば一財産出来ますぞ」 と、変に凄んだ声でおれに言い言いし、働きすぎて腰が抜けそう....
随筆 新平家」より 著者:吉川英治
、いとも簡素なもの。この侘びた庭垣や質素な風呂場が、近世日本資本主義に咲き栄えた一財団の故郷かとおもうと、なかなか感慨がわいてくる。三井は亡んでも資本主義なお亡....