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「一足〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

一足の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
文章」より 著者:芥川竜之介
らいであろう。色の浅黒い、肉の落ちた、神経質らしい顔をしている。保吉は大佐よりも一足《ひとあし》あとに薄暗い廊下《ろうか》を歩みながら、思わず「おや」と云う声を....
偸盗」より 著者:芥川竜之介
ら、捨ててはおけない。 彼は、入り口の布をあげて、うすぐらい家の中へ、せわしく一足ふみ入れた。 四 猪熊のばばに別れると、次郎は、重い心を....
伝吉の敵打ち」より 著者:芥川竜之介
ち上れると思うているのか? 己は居《い》ざりじゃ。腰抜けじゃ。」 伝吉は思わず一足《ひとあし》すさった。いつか彼の構えた刀はぶるぶる切先《きっさき》を震《ふる....
玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
頷《うなず》いていた。 「じゃ甲野さん、ちょっとこちらへ。」 お鈴は甲野よりも一足先に小走りに廊下を急いで行った。丁度雪の残った棕櫚《しゅろ》の葉の上には鶺鴒....
戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
てみると、うす暗い玄関の沓脱《くつぬ》ぎの上に、見慣れたばら緒の雪駄《せった》が一足のっている。馬琴はそれを見ると、すぐにその客ののっぺりした顔が、眼に浮んだ。....
不思議な島」より 著者:芥川竜之介
ら、さぞ珍重《ちんちょう》することであろう。僕は老人に話しかけた。 「町のそとへ一足《ひとあし》出ると、見渡す限りの野菜畑ですね。」 「サッサンラップ島の住民は....
邪宗門」より 著者:芥川竜之介
「やい、おのれは昼盗人《ひるぬすびと》か。盗人とあれば容赦《ようしゃ》はせぬ。一足でも門内にはいったが最期《さいご》、平太夫が太刀《たち》にかけて、まっ二つに....
河童」より 著者:芥川竜之介
》さえ示しました。僕はいよいよ無気味になり、そっと椅子《いす》から立ち上がると、一足《いっそく》飛びに戸口へ飛び出そうとしました。ちょうどそこへ顔を出したのは幸....
或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
えて、旅籠の勘定を誤ったとあっては、末代《まつだい》までの恥辱になるわ。その方は一足先へ参れ。身どもは宿まで取って返そう。」――彼はこう云い放って、一人旅籠へ引....
お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
。 「ずるをしたのも兄さんだい。」 「何。」 兄はまた擬勢《ぎせい》を見せて、一足彼の方へ進もうとした。 「それだから喧嘩になるんじゃないか? 一体お前が年嵩....
」より 著者:芥川竜之介
た白の嬉しさは何と云えば好《い》いのでしょう? 白は尻尾《しっぽ》を振りながら、一足飛《いっそくと》びにそこへ飛んで行きました。 「お嬢さん! 坊ちゃん! 今日....
馬の脚」より 著者:芥川竜之介
がた後へ下《さが》り出した。と同時に驚くまいことか! 俺も古本屋を前に見たまま、一足《ひとあし》ずつ後へ下り出した。この時の俺の心もちは恐怖と言うか、驚愕《きょ....
妖婆」より 著者:芥川竜之介
に生乾きのペンキの※《におい》を漂わしている後から、アスファルトの往来へひょいと一足踏み出すと、新蔵のかぶっている麦藁帽子の庇《ひさし》をかすめて、蝶が二羽飛び....
百合」より 著者:芥川竜之介
こっちだよう」と一生懸命に喚《わめ》きながら、畑のある右手へ走って行った。良平は一足《ひとあし》踏み出したなり、大仰《おおぎょう》にぐるりと頭を廻すと、前こごみ....
歯車」より 著者:芥川竜之介
すると大きい鼠が一匹窓かけの下からバスの部屋へ斜めに床の上を走って行った。僕は一足飛びにバスの部屋へ行き、戸をあけて中を探しまわった。が、白いタッブのかげにも....