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一軒
「一軒〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
一軒の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「大導寺信輔の半生」より 著者:芥川竜之介
古本屋の手に渡すことは常に彼には悲劇だった。彼は或薄雪の夜、神保町通りの古本屋を
一軒一軒|覗《のぞ》いて行った。その内に或古本屋に「ツアラトストラ」を一冊発見し....
「十円札」より 著者:芥川竜之介
ども今になって見ると、多少の前借《ぜんしゃく》の出来そうなのはわずかにこの雑誌社
一軒である。もし多少の前借でも出来れば、――
彼はトンネルからトンネルへはいる....
「彼」より 著者:芥川竜之介
》どらなかった。それは床屋《とこや》の裏になった棟割《むねわ》り長屋《ながや》の
一軒だった。主人は近所の工場《こうじょう》か何かへ勤《つと》めに行った留守《るす....
「奇遇」より 著者:芥川竜之介
のほとりまで来ると、柳や槐《えんじゅ》に囲まれながら、酒旗《しゅき》を出した家が
一軒見える。朱塗りの欄干《らんかん》が画《えが》いたように、折れ曲っている容子《....
「葱」より 著者:芥川竜之介
よこちょう》を曲ったと見えて、路幅の狭い町を歩いている。そうしてその町の右側に、
一軒の小さな八百屋《やおや》があって、明《あかる》く瓦斯《ガス》の燃えた下に、大....
「日光小品」より 著者:芥川竜之介
花をつけたのに、片目のつぶれた黒犬がものうそうにその下に寝ころんでいた。その中で
一軒門口の往来へむいた家があった。外の光になれた私の眼には家の中は暗くて何も見え....
「魚河岸」より 著者:芥川竜之介
まった。このまま河岸を出抜けるのはみんな妙に物足りなかった。するとそこに洋食屋が
一軒、片側《かたかわ》を照らした月明りに白い暖簾《のれん》を垂らしていた。この店....
「保吉の手帳から」より 著者:芥川竜之介
々ぼんやり窓の外を眺めた。窓の外には往来の向うに亜鉛屋根《トタンやね》の古着屋が
一軒、職工用の青服だのカアキ色のマントだのをぶら下げていた。
その夜《よ》学校....
「田端日記」より 著者:芥川竜之介
久米の所へ行った。すると南町へ行って、留守だと云うから本郷通りの古本屋を根気よく
一軒一軒まわって歩いて、横文字の本を二三冊買って、それから南町へ行くつもりで三丁....
「歯車」より 著者:芥川竜之介
曲ることにした。この小みちの右側にはやはり高い松の中に二階のある木造の西洋家屋が
一軒白じらと立っている筈だった。(僕の親友はこの家のことを「春のいる家」と称して....
「杜子春」より 著者:芥川竜之介
の通り、一文無しになって見ると、広い洛陽の都の中にも、彼に宿を貸そうという家は、
一軒もなくなってしまいました。いや、宿を貸すどころか、今では椀に一杯の水も、恵ん....
「初雪」より 著者:秋田滋
* * この散歩路のほうに向って入口のついた、小粋な構えの小さな家が
一軒あったが、折しもその家から若い女がひとり出て来た。ちょっと立ちどまって散歩を....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
の厄介になっており、そしてその子供たちを教えていたのだった。彼はこういう農家に、
一軒につづけて一週間ずつ世話になっては、近所をめぐり歩いたのだが、そういうときに....
「親ごころ」より 著者:秋田滋
一条の街道がこれから村へかかろうとするあたりに、這い込むような小さな家が
一軒、道のほとりにたっていた。彼はむかしその家に住んでいた。土地の百姓のむすめを....
「三人の百姓」より 著者:秋田雨雀
ばかりしていました。伊作はある年の夏、橋の畔に小さな居酒屋を造えましたが、村には
一軒も酒屋がなかったので、この居酒屋が大層|繁昌してだんだん儲かって行きました。....