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「一遍に〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

一遍にの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
路上」より 著者:芥川竜之介
んはね、あすこの梯子段《はしごだん》を上っても、息が切れるんだとさ。僕は二段ずつ一遍にとび上る事が出来るんだぜ。」 俊助は辰子と顔を見合せて、ようやく心置きの....
のんきな患者」より 著者:梶井基次郎
うので非常にあっけない話であったが、吉田の母親はあのお婆さんに死なれてはあの娘も一遍に気を落としてしまっただろうとそのことばかりを心配した。そしてそのお婆さんが....
千早館の迷路」より 著者:海野十三
りすっぽりと切られたんです。このとおり切口は鮮かです。これじゃ軟い人間の首なんぞ一遍にちょん切れてしまいますよ」 そういって帆村が見せた洋杖の先の切口は、磨い....
二、〇〇〇年戦争」より 著者:海野十三
ーチカの真下のところには、味方の兵士の屍が、累々と転がっていた。よくまあ、こうも一遍にやられたものだと、感心させられた。そのあたりは、墓場そのものであった。生き....
もくねじ」より 著者:海野十三
情け深い所長さんの言葉によって、ぼくはこれまでの身を切られるようなつらいことを、一遍に忘れてしまった。ああよかった。やがて所長さんは建物の中に入って、ぼくを木箱....
竹の木戸」より 著者:国木田独歩
だ。仕方が無いじゃアないか」と磯は腹の空いた訳と二円|外前借が出来なかった理由を一遍に話して了った。そして話し了ったころ漸と箸を置いた。 全体磯吉は無口の男で....
活動写真」より 著者:淡島寒月
その場に出ているものに調和したものが、即ち趣味を以って置かれている。決してお義理一遍になげやりにただ舞台を飾るというだけに置かれてあるような事はない。総てにおい....
最古日本の女性生活の根柢」より 著者:折口信夫
ことになるのである。 こうした花嫁の心持ちは、微妙なものであろうから、単に形式一遍に泣くとも見られぬが、ともかく神と人間との間にある女としての身の処置は、こう....
九龍虫」より 著者:上村松園
どしてからしらべてみると、もう何百匹となくうじゃうじゃしているのには驚いた。 「一遍に十匹ほどずつ飲んでみなさい、とてもよく効く」 と、お医者さんは言ったが、....
鴨の喜劇」より 著者:井上紅梅
ンコ君の勧告の結果だろうと思われる。 それから田舎者はしょっちゅうやって来て、一遍に何羽となく買ってもらう。というのは鶏は食い過ぎたり発熱したりしやすく、なか....
詩語としての日本語」より 著者:折口信夫
ある。そういう古語が、平俗な口語文体の中にちらばらとはめ込まれているところから、一遍に凡庸な国語と感ぜられ、古語の持っているえきぞちっくな味すら受け容れられない....
愚かな男の話」より 著者:岡本かの子
ねばならなかった。男は考えた。こう一々研ぎ直すのでは手数がかかってやり切れない。一遍に幾度分も研いどいてやろう。そこで男は二三日がかりで庖丁ばかり研ぎにかかった....
チベット旅行記」より 著者:河口慧海
ろがびっくりするほど冷たい水で自分の身が切られたかと思うほどの感じに打たれたから一遍に後戻りして飛び上った。こう冷たくては堪らない。一町半もあるこの冷たい川を渡....
一癖あるどじょう」より 著者:北大路魯山人
の急所は目の付け根とおぼしいところの背骨にある。この個所に錐を打てば、どじょうは一遍に参ってしまう。 小どじょう、大どじょうともに味噌汁に丸ごと入れることが一....
はつ恋」より 著者:神西清
ったが、それを捜すどころではなかった。恥ずかしくてならなかったのだ。 わたしは一遍に酔いがさめた。とはいえ、家へ戻る途中で、わたしはやはり、ニワトコの陰の例の....