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一部始終
「一部始終〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
一部始終の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「るしへる」より 著者:芥川竜之介
くま》りて、淫《みだ》らなる恋を囁くにや」と、身ぶるいして申されたり。われ、その
一部始終を心の中《うち》に繰返しつつ、異国より移し植えたる、名も知らぬ草木《くさ....
「忠義」より 著者:芥川竜之介
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修理《しゅり》は、翌日、宇左衛門から、佐渡守の云い渡した
一部始終を聞くと、忽ち顔を曇らせた。が、それぎりで、格別いつものように、とり上《....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
たのが、万一新蔵の身の上に、取り返しのつかない事でも起っては大変と、とうとう男に
一部始終を打ち明ける気になったのです。が、それも新蔵が委細を聞いた後になって、そ....
「或る女」より 著者:有島武郎
は鋭く輝いたり涙ぐんだりしていた。木村は電火にでも打たれたように判断力を失って、
一部始終をぼんやりと聞いていた。言葉だけにもどこまでも冷静な調子を持たせ続けて葉....
「軍用鮫」より 著者:海野十三
で気がついて、彼は蘆溝橋事件からはじまった中国対東洋鬼国との戦闘経過をのこりなく
一部始終を説明したところ、博士ははじめて手をうって、 「なるほど、承ってみれば、....
「空襲葬送曲」より 著者:海野十三
いと思った。 そこへ兄の浩が、フウフウ云いながら、帰ってきた。真弓は手短かに、
一部始終を兄に話し、紅子の手紙を東京へ電報することを相談した。 「そりゃ訳はない....
「蠅男」より 著者:海野十三
った。 エレヴェーターを四階で停めて、帆村は大川主任のところへ行った。そして、
一部始終を手短かに話し、主任の応援と命令とを乞うた。 「ええッ。蠅男がこのホテル....
「動かぬ鯨群」より 著者:大阪圭吉
逃げたがったんだそうだ。が、まアしかし、結局|行会って、署長から、これこれ云々と
一部始終を聞き終ると、どうしたことかサッと顔色を変えて、なんだか妙にうろたえなが....
「母子叙情」より 著者:岡本かの子
を覚ましました。勝手が違ったところにいるので、彼は妙な顔をしていました。しかし、
一部始終が判ると、彼は真面目な顔を作って云いました。どうも君たちの新婚の夢を妨げ....
「見えざる敵」より 著者:海野十三
擾を見てくらしているのだった。彼は、ショーウインドーらしき大きな硝子をとおして、
一部始終を眺めて暮らしているのだった。彼の前には、紛れもなく賑かな上海、南京路の....
「大空魔艦」より 著者:海野十三
、神様が救いの手をさしのべたせいであろう。 丁坊はこの息づまるような避難作業の
一部始終を、魅いられるように氷上でみつめていたが、隊長が最後に救われたと知った瞬....
「湯女の魂」より 著者:泉鏡花
を、どんなに胸に蓄えておりましたか、その容体ではなかなか一通りではなかろうと思う
一部始終を、悉しく申したのでありまする。 さっきから黙然として、ただ打頷いてお....
「政談十二社」より 著者:泉鏡花
正に大審院に、高き天を頂いて、国家の法を裁すべき判事は、よく堪えてお幾の物語の、
一部始終を聞き果てたが、渠は実際、事の本末を、冷かに判ずるよりも、お米が身に関す....
「燕と王子」より 著者:有島武郎
行くのを、しっかり見届けた上で、燕はいい事をしたと思って王子の肩に飛び帰って来て
一部始終の物語をしてあげますと、王子もたいそうお喜びになってひとかたならず燕の心....
「ある自殺者の手記」より 著者:秋田滋
の手はワナワナ顫えた、眼はくもってしまった。だが私は彼がその手紙の中で語っている
一部始終を読み返した。私は歔欷いている自分の哀れな心の中に痛い傷痕をかんじて、我....