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一里塚
「一里塚〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
一里塚の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
傍に小高く土を盛り上げ、榎を植えて、里程を示すたよりとした築山がある。駅路時代の
一里塚だ。その辺は信濃と美濃の国境にあたる。西よりする木曾路の一番最初の入り口で....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
に近い位置を選んで建てた芭蕉の句碑もある。とうとう、彼は信濃と美濃の国境にあたる
一里塚まで、そこにこんもりとした常磐木らしい全景を見せている静かな榎の木の下まで....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
十曲峠だ。 ようやく半蔵らは郷里の西の入り口まで帰り着いた。峠の上の国境に立つ
一里塚の榎を左右に見て、新茶屋から荒町へ出た。旅するものはそこにこんもりと茂った....
「相対性原理側面観」より 著者:寺田寅彦
うな物ではない。狭く科学と限らず一般文化史上にひときわ目立って見える堅固な石造の
一里塚である。 五 相対性原理に対する反対論というものが往々に見....
「怪異考」より 著者:寺田寅彦
とある。 またこの出現するのにおのずから場所が定まっている傾向があり、たとえば
一里塚のような所の例があげられている。 もう一つ参考になるのは、馬をギバの難か....
「連句雑俎」より 著者:寺田寅彦
行の途上ところどころに月や花のいわゆる定座《じょうざ》が設定されていて、これらが
一里塚《いちりづか》のごとく、あるいは澪標《みおつくし》のごとく、あるいは関所の....
「天守物語」より 著者:泉鏡花
の辺は雨だけかい。それは、ほんの吹降りの余波であろう。鷹狩が遠出をした、姫路野の
一里塚のあたりをお見な。暗夜のような黒い雲、眩いばかりの電光、可恐い雹も降りまし....
「夜叉ヶ池」より 著者:泉鏡花
われませぬ。昔も近江街道を通る馬士が、橋の上に立った見も知らぬ婦から、十里|前の
一里塚の松の下の婦へ、と手紙を一通ことづかりし事あり。途中気懸りになって、密とそ....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
、と思い切った。 時に、障子を開けて、そこが何になってしまったか、浜か、山か、
一里塚か、冥途の路か。船虫が飛ぼうも、大きな油虫が駈け出そうも料られない。廊下へ....
「沼夫人」より 著者:泉鏡花
蜘蛛手に走る。二三枚空が映って、田の白いのは被ったらしい。松があって雑樹が一叢、
一里塚の跡かとも思われるのは、妙に低くなって、沈んで島のように見えた、そこいらも....
「鴫突き」より 著者:寺田寅彦
っては三十余年前の冬のある曇り日のこの珍しい体験が、過去の想い出の中に聳え立った
一里塚のように顕著な印象を止めているものと思われる。 「鴫突き」は鉄砲で打つのと....
「空家」より 著者:宮崎湖処子
を出でたり、春の日のいとも遅々たるさまにはあれど、早くも村の外に出でたり、路傍の
一里塚《いちりづか》も後になりて、年|経《ふ》りし松が枝も此方を見送り、柳の糸は....
「河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
。寸人豆馬と言いますが、豆ほどの小僧と、馬に木茸の坊さん一人。これが秋の暮だと、
一里塚で消えちまいます、五月の陽炎を乗って行きます。 お婆さんが道祖神の化身な....
「葛飾土産」より 著者:永井荷風
いていた時である。わたくしは古木と古碑との様子の何やらいわれがあるらしく、尋常の
一里塚ではないような気がしたので、立寄って見ると、正面に「葛羅之井《かつらのい》....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
道でなくば、倖いだが――」
「或はもう、今越えたのが三|途の川、今踏んでゆく道が
一里塚、行くての丘は針の山かもしれません。――しかし、自分を生かす活路はこの一筋....