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「一間〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

一間の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
袈裟と盛遠」より 著者:芥川竜之介
はあの日までと云った方が、もっとほんとうに近いかも知れない。あの日、伯母様の家の一間で、あの人と会った時に、私はたった一目見たばかりで、あの人の心に映っている私....
煙管」より 著者:芥川竜之介
ら間もなくの事である。 斉広《なりひろ》がいつものように、殿中《でんちゅう》の一間で煙草をくゆらせていると、西王母《せいおうぼ》を描いた金襖《きんぶすま》が、....
路上」より 著者:芥川竜之介
初子は身を斜《ななめ》にして、透《すか》すように格子の外を見た。格子の外には、一間に足らない御影《みかげ》の敷石があって、そのまた敷石のすぐ外には、好い加減古....
死後」より 著者:芥川竜之介
夢の中の僕は暑苦しい町をSと一しょに歩いていた。砂利を敷いた歩道の幅はやっと一間か九尺しかなかった。それへまたどの家も同じようにカアキイ色の日除けを張り出し....
たね子の憂鬱」より 著者:芥川竜之介
何度もフォオクの使いかただのカッフェの飲みかただのと思い返していた。のみならず万一間違った時には――と云う病的な不安も感じていた。銀座の裏は静かだった。アスファ....
二つの手紙」より 著者:芥川竜之介
ん。私は靴をぬいで、帽子とオオヴァ・コオトとを折釘《おりくぎ》にかけて、玄関から一間《ひとま》置いた向うにある、書斎の唐紙《からかみ》をあけました。これは茶の間....
槍が岳に登った記」より 著者:芥川竜之介
見える。それが近くなるに従ってだんだんに大きくなって、自分たちの足もとへ来ては、一間に高さが五尺ほどの鼠色の四角な石になっている。荒廃と寂寞《じゃくまく》――ど....
或る女」より 著者:有島武郎
後に、両親の立ち会わない小さな結婚の式が、秋のある午後、木部の下宿《げしゅく》の一間《ひとま》で執り行なわれた。そして母に対する勝利の分捕《ぶんど》り品《ひん》....
或る女」より 著者:有島武郎
子は知った人にあうのを極端に恐れ避けながら、汽車の出るすぐ前まで停車場前の茶店の一間《ひとま》に隠れていて一等室に飛び乗った。だだっ広《ぴろ》いその客車には外務....
星座」より 著者:有島武郎
ので、そこには枯れ枯れになった苜蓿《うまごやし》が一面に生えていて、遊廓との界に一間ほどの溝《みぞ》のある九間道路が淋しく西に走っていた。そこを曲りさえすれば、....
江戸か東京か」より 著者:淡島寒月
の飾物の笹が大流行で、その笹に大きいものを結び付けることが流行り、吹流しだとか、一間もあろうかと思う張子の筆や、畳一畳敷ほどの西瓜の作ものなどを附け、竹では撓ま....
梵雲庵漫録」より 著者:淡島寒月
てよこしたという伝説がある。その代りという訳でもあるまいが、この辺の土地は今でも一間も掘り下げると、粘土が層をなしていて、それが即ち今戸焼には好適の材料となるの....
狂女」より 著者:秋田滋
に澱んだままになっていたのだろうか。 十五年という永い年月の間、彼女はこうして一間にとじ籠ったまま、じッと動かなかった。 戦争が始まった。十二月のこえを聞く....
罪人」より 著者:アルチバシェッフミハイル・ペトローヴィチ
るくなっている。格子のある高い窓から、灰色の朝の明りが冷たい床の上に落ちている。一間は這入って来た人に冷やかな、不愉快な印象を与える。鼠色に塗った壁に沿うて、黒....
本所両国」より 著者:芥川竜之介
木林や竹藪の多い封建時代の「お竹倉」だった。「大溝」とはその名の示す通り少くとも一間半あまりの溝のことである。この溝は僕の知っていた頃にはもう黒い泥水をどろりと....