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「一陣〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

一陣の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
疑惑」より 著者:芥川竜之介
く見開いている、気味の悪い顔でございます。すると今度は煙ばかりか、火の粉を煽った一陣の火気が、眼も眩《くら》むほど私を襲って来ました。私はもう駄目だと思いました....
犬と笛」より 著者:芥川竜之介
た。 ところが不思議な事には、それと同時に、雲で埋《うず》まっている谷底から、一陣の風がまき起りますと、その風の中に何かいて、 「髪長彦さん。難有《ありがと》....
」より 著者:芥川竜之介
銭の札《ふだ》を打った葱《ねぎ》の山が浮んで来る。と思うとたちまち想像が破れて、一陣の埃風《ほこりかぜ》が過ぎると共に、実生活のごとく辛辣《しんらつ》な、眼に滲....
」より 著者:芥川竜之介
でのどかに晴れていた空が、俄《にわか》にうす暗く変りました。その途端《とたん》に一陣の風がさっと、猿沢の池に落ちて、鏡のように見えた水の面に無数の波を描《えが》....
或る女」より 著者:有島武郎
、葉子が命も名もささげてかかった新しい生活は見る見る土台から腐り出して、もう今は一陣の風さえ吹けば、さしもの高楼ももんどり打って地上にくずれてしまうと思いやると....
婦系図」より 著者:泉鏡花
ょろきょろと視める背後に、母親のその背に凭れかかって、四歳ぐらいなのがもう一人。一陣風が吹くと、姿も店も吹き消されそうで哀な光景。浮世の影絵が鬼の手の機関で、月....
紅玉」より 著者:泉鏡花
跡は野原だ、勝手になれ。(怪しき声にて呪す。一と三の烏、同時に跪いて天を拝す。風一陣、灯消ゆ。舞台一時暗黒。) はじめ、月なし、この時薄月出づ。舞台|明くなりて....
茸の舞姫」より 著者:泉鏡花
その露の鏤むばかり、蜘蛛の囲に色|籠めて、いで膚寒き夕となんぬ。山から颪す風一陣。 はや篝火の夜にこそ。 五 笛も、太鼓も音を絶えて、ただ....
黒百合」より 著者:泉鏡花
「や、天狗が礫を打ちゃあがる。」 雨三粒降って、雲間に響く滝の音が乱れた。風一陣! 四十八 「女中さん、降って来そうでございます、姫様におっし....
怨霊借用」より 著者:泉鏡花
、たとえば串から倒に幽霊の女を釜の中へ入れようとした時である。砂礫を捲いて、地を一陣の迅き風がびゅうと、吹添うと、すっと抜けて、軒を斜に、大屋根の上へ、あれあれ....
杜子春」より 著者:芥川竜之介
っと一息しながら、今度はどんなことが起るかと、心待ちに待っていました。 すると一陣の風が吹き起って、墨のような黒雲が一面にあたりをとざすや否や、うす紫の稲妻が....
多神教」より 著者:泉鏡花
―憎らしい。ああ、お姫様。 媛神 ちゃんとお狙い。 お沢 畜生!(切って放つ。)一陣の迅き風、一同|聳目し、悚立す。 巫女 お見事や、お見事やの。(しゃがれた笑....
スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
づくと口笛を吹きはじめた。だれかが自分の口笛に答えたような気がした。だが、それは一陣の風がその枯れた枝をさっと吹きぬけただけのことだった。もう少し近くにきたとき....
式部小路」より 著者:泉鏡花
で、刻んできこえたが、しばらく中絶えがして、菊畑の前、荒物屋の角あたりから、疾風一陣! 護国寺前から音羽の通りを、通り魔の通るよう、手足も、衣も吹靡いて、しのう....
註文帳」より 著者:泉鏡花
なく、夜の色さえ埋み消したが、見る見る垣を亙り、軒を吹き、廂を掠め、梢を鳴らし、一陣たちまち虚蒼に拡がって、ざっという音|烈しく、丸雪は小雪を誘って、八方十面降....