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一雪
「一雪〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
一雪の前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「眉かくしの霊」より 著者:泉鏡花
顔の色と、怯えた様子とてはなかったそうでございましてな。……お社前の火事見物が、
一雪崩になって遁げ下りました。森の奥から火を消すばかり冷たい風で、大蛇がさっと追....
「朱日記」より 著者:泉鏡花
の松の梢の尖が目に着いた。もう目の前の峰を越すと、あの見霽しの丘へ出る。……後は
一雪崩にずるずると屋敷町の私の内へ、辷り込まれるんだ、と吻と息をした。ところがま....
「売色鴨南蛮」より 著者:泉鏡花
、遥に品川の海に消えた。が、蔵前の煙突も、十二階も、睫毛に一眸の北の方、目の下、
一雪崩に崕になって、崕下の、ごみごみした屋根を隔てて、日南の煎餅屋の小さな店が、....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
十四 しかり、文金のお嬢さんは、当時中洲辺に住居した、月村京子、雅名を
一雪といって、実は小石川台町なる、上杉先生の門下の才媛なのである。 ちょっとし....
「土淵村にての日記」より 著者:水野葉舟
、非常に物珍らしく思った。 三 雪があがるかと思うとすぐ降ってくる。
一雪降ると、六角牛《ろっこし》の峰にはほかの山よりも、一層深く積る。やがて空が晴....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
が着く騒。大変だという内に、水足が来て足を嘗めたっていうんです。それがために皆が
一雪崩に、引返したっていいますが、もっとも何だそうで、その前から風が出て大降にな....
「農村」より 著者:宮本百合子
それを間違いだろうと云うだろう。 秋の末頃までこの村の人達は生きて居るけれ共、
一雪下りるともう死人の村と同様で、人々は皆家へ閉じこもり、「わら靴」を編んだり「....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
元の板屋に部屋をとるように電報して出かけたのでしたが、湯元は満員というわけで、万
一雪のあるてっぺんまで一気にあがって、宿はない、かえりの車はない、下でもう宿は一....
「雪霊続記」より 著者:泉鏡花
ました。 怪火に映る、その大滝の雪は、目の前なる、ズツンと重い、大な山の頂から
一雪崩れに落ちて来るようにも見えました。 引挫がれた。 苦痛の顔の、醜さを隠....
「犠牲者」より 著者:平林初之輔
している、浅野護謨会社事務員今村謹太郎ははたで思う程あわれな存在ではなかった。第
一雪道を歩くのは経験のない人が想像する程寒いものではない。少しくらい靴の皮をとお....