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「一面〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

一面の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
気の擾《みだ》されるのを惧《おそ》れ、何度も母に考え直させようとした。(その癖又一面には父の玄鶴とお芳の兄との中間《ちゅうかん》に立っている関係上、いつか素気な....
戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
装飾らしい装飾は一つもない。壁に沿うては、五十に余る本箱が、ただ古びた桐の色を、一面に寂しく並べている。障子の紙も貼ってから、一冬はもう越えたのであろう。切り貼....
邪宗門」より 著者:芥川竜之介
うただ「あた、あた」と仰有《おっしゃ》るばかり、あまつさえ御身《おみ》のうちは、一面に気味悪く紫立って、御褥《おしとね》の白綾《しろあや》も焦げるかと思う御気色....
」より 著者:芥川竜之介
《うかが》っている彼自身を発見した。寝室の外の廊下には、息のつまるような暗闇が、一面にあたりを封じていた。その中《うち》にただ一点、かすかな明りが見えるのは、戸....
河童」より 著者:芥川竜之介
し僕に意外だったのは河童の体《からだ》の色のことです。岩の上に僕を見ていた河童は一面に灰色を帯びていました。けれども今は体中すっかり緑いろに変わっているのです。....
片恋」より 著者:芥川竜之介
鵡《おうむ》の籠が一つ吊下げてあるんです。それが夜の所だと見えて、どこもかしこも一面に青くなっていました。その青い中で――私はその人の泣きそうな顔をその青い中で....
温泉だより」より 著者:芥川竜之介
です。もっともそのまた「朝日」の空き箱には空気を通わせるつもりだったと見え、べた一面に錐《きり》の穴をあけてあったと云うのですから、やはり半之丞らしいのには違い....
お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
か》むが早いか、いきなり兄の顔へ叩きつけた。トランプは兄の横顔に中《あた》って、一面にあたりへ散乱した。――と思うと兄の手が、ぴしゃりと彼の頬を撲《ぶ》った。 ....
西郷隆盛」より 著者:芥川竜之介
の境《さかい》に近づいているのに相違ない。硝子《ガラス》窓から外を見ると、どこも一面にまっ暗である。時々小さい火の光りが流れるように通りすぎるが、それも遠くの家....
侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
は如何にこう云った後、豚のように幸福に熟睡したであろう。 又 天才の一面は明らかに醜聞を起し得る才能である。 輿論 輿論《よろん》は常に....
海のほとり」より 著者:芥川竜之介
、はるかに弧《こ》を描《えが》いた浪打ち際に一すじの水沫《みなわ》を残したまま、一面に黒ぐろと暮れかかっていた。 「じや失敬。」 「さようなら。」 HやNさん....
久米正雄氏の事」より 著者:芥川竜之介
者らしい所にも、善い点がないと云うのではありません。いや、寧ろ久米のフォルトたる一面は、そこにあるとさえ云われるでしょう。素朴な抒情味などは、完くこの田舎者から....
ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
十二月二十九日にパリを立ち、郊外のフォンテン・ブローを過ぐる際、折りしも森林は一面に結晶した白い氷で被われて、非常な美観の実験をなし、これの起す電気にて水の分....
スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
きよせてくるのだ。この魔力がひとを夢や空想におとしいれる雰囲気を吐きだし、それが一面に伝染するのだ。スリーピー・ホローの住民も数人ヴァン・タッセルの邸に来ており....
三人の百姓」より 著者:秋田雨雀
三人の百姓の生れた村というのは、それはそれは淋しい小さな村で、秋になると、山が一面に紅葉になるので、城下の人たちが紅葉を見に来るほか、何の取柄もないような村で....