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一飯
「一飯〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
一飯の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「鼻」より 著者:芥川竜之介
あました理由は二つある。――一つは実際的に、鼻の長いのが不便だったからである。第
一飯を食う時にも独りでは食えない。独りで食えば、鼻の先が鋺《かなまり》の中の飯へ....
「みちのく」より 著者:岡本かの子
なる。そしてもう別の店の前を掃くのであった。 「性質のいい乞食《こじき》なのだ。
一飯《いっぱん》の恵《めぐ》みに与《あずか》りたいのだ」 そう受取るようになっ....
「作家の手帖」より 著者:太宰治
る。その人の煙草の火のおかげで、私は煙草を一服吸う事が出来るのだもの、謂わば一宿
一飯の恩人と同様である。けれども逆に、私が他人に煙草の火を貸した場合は、私はひど....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
擲ったおくりものとである。愛する場合に於ては、例えば私が飢えた人を愛して、これに
一飯を遣ったとすれば、その愛された人と
一飯とは共に還って来て私自身の骨肉となるだ....
「東京八景」より 著者:太宰治
ものは無い。からだごと、ぶっつけて行くより、てを知らなかった。野暮天である。一宿
一飯の恩義などという固苦しい道徳に悪くこだわって、やり切れなくなり、逆にやけくそ....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
だと主人に怒られた。雄犬の癖でもあるが、よく家をあけた。先の主、先々の主、其外|
一飯の恩ある家をも必|訪ねた。悪戯でもして叱られると、直ぐ甲州街道に逃げて往った....
「怪談牡丹灯籠」より 著者:三遊亭円朝
新三郎は人が良いものですから一人で逢いに行くことが出来ません、逢いに参って若し万
一飯島の家来にでも見付けられてはと思えば行く事もならず、志丈が来れば是非お礼|旁....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
ぬ丹後守は、客を愛すること一通りでない、いかなる客であっても、訪ねて来る者に一宿
一飯を断わったことがない――それらの客と会って話をするというよりは、その話を聞く....
「後の業平文治」より 著者:三遊亭円朝
ありますまいか、昨夜はまんじりともせず、食事も致さぬ故、如何にも空腹で堪らぬが、
一飯助けてくれまいか」 老「へえ、お安いことで有りやすが、飯を炊きかけて居りま....
「剣侠」より 著者:国枝史郎
僕の客、分家の客、新家の客と、あらゆる客がやって来るし、ただお屋敷拝見とか、一宿
一飯の恩恵にとか、そんな名義で来る客もあり、客の種類や人品により、主人の客でも主....
「夢のお七」より 著者:岡本綺堂
。」と、彼はまた断った。 たとい一泊を許されないにしても、暫時ここに休息して、
一飯の振舞にあずかって、それから踏み出そうと思っていたのであるが、それも断られて....
「八犬伝談余」より 著者:内田魯庵
易に想像される。玄関番の書生が主人を先生と呼ぶようなものだ。もっとも一字の師恩、
一飯の恩という事もあり、主従師弟の厳ましかった時代だから、両者の関係が漸く疎隔し....
「平ヶ岳登攀記」より 著者:高頭仁兵衛
時には、真暗になって足下も見えなくなって来た、その夜はここに野営して水に遠いので
一飯を抜くことにして睡むった。 二十一日は五時二十分に出発した、路は明瞭な細径....
「申訳」より 著者:永井荷風
。商人から饗応を受けることは昔より廉潔の士の好まざる所である。漂母《ひょうぼ》が
一飯の恵と雖一たび之を受ければ恩義を担うことになるからである。 僕は忍ばねばな....
「とと屋禅譚」より 著者:岡本かの子
り費い果した。今朝の朝飯代が無い。あんたの仏道の結縁にもなる事だから、この旅僧に
一飯供養しなさい」 女は驚いた。 ――まあ、随分ずうずうしいお客さんだわね」....