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「三絃〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

三絃の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
酒中日記」より 著者:国木田独歩
親《おふくろ》、妹《いもと》は我儘者《わがままもの》、母に甘やかされて育てられ、三絃《しゃみ》まで仕込まれて自堕落者に首尾よく成りおおせた女。お前たちの厄介にさ....
「いき」の構造」より 著者:九鬼周造
ズムとが一致せず、両者間に多少の変位が存在するのである。長唄において「せりふ」に三絃《さんげん》を附したところでは両者のリズムが一致している。その他でも両者のリ....
ふもれすく」より 著者:辻潤
たそうだ。しかも下谷にいる時などは僕と同棲中僕のおふくろから少しばかり習い覚えた三絃をお供つきで復習にきたなどという珍談もある。僕のおふくろでも弟でも妹でもみん....
田舎教師」より 著者:田山花袋
挨拶して通って行く。中学卒業の祝いの宴会にもやって来て、いい声で歌をうたったり、三絃をひいたりした。小畑がそばにすわって「小滝は僕らの芸者だ。ナア小滝」などと言....
歌行灯」より 著者:泉鏡花
天窓の、連の、その爺様を見遣って、 「捻平さん、お互に年は取りたくないてね。ちと三絃でも、とあるべき処を、お膳の前に按摩が出ますよ。……見くびったものではないか....
菎蒻本」より 著者:泉鏡花
初手は物凄かったのでございます。がいかにも、その病気があるために、――この容色、三絃もちょっと響く腕で――蹴ころ同然な掃溜へ落ちていると分りますと、一夜妻のこの....
三甚内」より 著者:国枝史郎
られて、ズラリと前へ並べられたところは決して悪い気持ちではない。 山本|勾当の三絃に合わせて美声自慢のお品女郎が流行の小唄を一|連唄った。新年にちなんだめでた....
桜花を詠める句」より 著者:杉田久女
玻璃戸あけて桜明りや夕化粧 春梢女 源氏物語には、麗人中の麗人紫の女王の、十三絃のしらべの床しさを魂のそぞろになる音色と評し、その面わを桜花にたとえ、見てい....
地上」より 著者:島田清次郎
光に明るめられ、下界は森然と水のように透明であった。静かに澄み切ったこの世界に、三絃の音調が緩やかに低く鳴りはじめた。音色は緩やかな平和な調べをようやくに強め、....
純情狸」より 著者:佐藤垢石
ことはとりあわず恬然として弾きかつ歌うのが専門であった。 名は小みどりと呼び、三絃、笛、太鼓はもちろんであるが、婦芸一般に精をだし、書を読むことも人後に落ちな....
鴎外の思い出」より 著者:小金井喜美子
根附にはよく使われるので、支那、朝鮮からの輸入でしょう。琴柱にも使われましたが、三絃の盛んな頃はそれに使う撥の需要が夥しいのでしたから、撥|落が根附の材料に多く....
軽女」より 著者:上村松園
れを断わりもならず、それでは拙い一手を――と言って、秘愛の琴をとり出し、松風を十三絃の上に起こし、さて、何を弾じようかと思案した末、内蔵助の私かなる壮行を祝して....
註文帳」より 著者:泉鏡花
の棟に蒼き光の流るるあたり、よし原の電燈の幽に映ずる空を籠めて、きれぎれに冴ゆる三絃の糸につれて、高笑をする女の声の、倒に田町へ崩るるのも、あたかもこの土の色の....
フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
だが、こうした見知らぬこの北方の夏の夜の雰囲気の何処かで、内地で聴くようなあの三絃の音締めがして、そしてあのエンヤラヤアノヤアヤである。 大きな貸座敷風の構....
水郷異聞」より 著者:田中貢太郎
彼は甘い霞に包まれているような気もちになっていた。路の右側にある小料理屋から三絃が鳴って、その音といっしょに女の声もまじって二三人の怒鳴るような歌が聞えてい....