三進[語句情報] »
三進
「三進〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
三進の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「両国の秋」より 著者:岡本綺堂
い方がいい、一寸《いっすん》逃がれに日を延ばしてゆくほどいよいよ二進《にっち》も
三進《さっち》もいかないことになる。 彼女はお里の母の初七日《しょなのか》でも....
「鰊漁場」より 著者:島木健作
、その町じゅうで一番の海産物問屋大山のことであった。ぎりぎりといつのまにか二進も
三進もいかぬまでに自分を締めつけてしまった、逢えば愛想のいい、金にかけてはしかし....
「白妖」より 著者:大阪圭吉
鉄道以外にも幾つかの会社に関係していた錚々たる手腕家なのだが、この数年来|二進も
三進も行かない打撃を受けて、押山の父から莫大な負債を背負わされていた。そうした弱....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
商人も承知していて、気に入らないものでも買って見せる。江戸の食い詰め者で、二進も
三進も首の回らぬ連中なぞは、一つ新開地の横浜へでも行って見ようという気分で出かけ....
「雪の夜」より 著者:小林多喜二
うにもぬけでれないということが分っているだけ、たまらなかった。まるで彼には二進も
三進もゆかない地獄だった。そしてこういうことにさんざん苦しくなるといつでも彼は自....
「石塀幽霊」より 著者:大阪圭吉
。けれどもいくら考えて見ても、問題の解決はつかない。そして結局自分の力では二進も
三進も勘考がつかないと悟った雄太郎君は、誰か力になって貰える、信頼の置ける先輩は....
「マレー俳優の死」より 著者:岡本綺堂
。一座の者にはもちろん、世間にもだんだんに不義理の借金もかさんで来て、もう二進も
三進も行かなくなったんです。」 言いかけて、早瀬君は突然に僕に訊いた。 「あな....
「虹の橋」より 著者:久生十蘭
露すると、文句なしに犯人素質者のフレームに入れられ、それでもう、二進《にっち》も
三進《さっち》も行かない身のつまりになるのだと思いこんでいた。新憲法のおかげで、....
「顎十郎捕物帳」より 著者:久生十蘭
うなった以上は、せめて、ぬすっとの手がかりだけでもつけておかねば二進《にっち》も
三進《さっち》もいきゃアしねえ。……といっても、今までに辿りついたところでは、証....
「顎十郎捕物帳」より 著者:久生十蘭
のほうも、あっさり縮めて、とど助。 二三日あぶれつづけで、もう二進《にっち》も
三進《さっち》もゆかなくなった。 きょうは正月の十日で、金比羅《こんぴら》まい....
「顎十郎捕物帳」より 著者:久生十蘭
利なのですから、このままだと、どうしたってあなたが下手人になる。二進《にっち》も
三進《さっち》も行かなくなっているんですが、あなたさまが裏の事情さえ話してくださ....
「顎十郎捕物帳」より 著者:久生十蘭
ど助さん、あなたまで冷やかしちゃいけません。正直なところ、その件であっしは二進も
三進も行かなくなっているンです。念入りにひとりずつ叩いて見ましたが、いっこうどう....
「犂氏の友情」より 著者:久生十蘭
先生、どうしました。ひどく蒼い顔をしていますね」 「実にどうも、二進《にっち》も
三進《さっち》もゆかないことになって……」 先生はうっすらと汗をかいて、両手の....
「国境」より 著者:黒島伝治
のように、氷に張り閉されてしまった。 舷側の水かきは、泥濘に踏みこんで、二進も
三進も行かなくなった五光のようだった。つい、四五日前まで船に乗って渡っていた、そ....
「ワーニャ伯父さん」より 著者:神西清
ルの生活ときたら、はたから見てもぞっとするほどじゃなくて? 道路といえば、二進も
三進も行かないぬかるみだし、身を切るような風、ふぶき、行けども行けども涯しない道....