上がり口[語句情報] » 上がり口

「上がり口〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

上がり口の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
帽子を目深《まぶか》にかぶりながら、乳母に付き添った。 葉子は階子《はしご》の上がり口まで行って二人に傘《かさ》をかざしてやって、一段一段遠ざかって行く二人《....
或る女」より 著者:有島武郎
倉地の声にまじって古藤の声も激して聞こえた。 四一 階子段《はしごだん》の上がり口には愛子が姉を呼びに行こうか行くまいかと思案するらしく立っていた。そこを....
火事とポチ」より 著者:有島武郎
。 そこにおとうさんも走って来た。ぼくはおとうさんにはなんにもいわないで、すぐ上がり口に行った。そこは真暗《まっくら》だった。はだしで土間《どま》に飛びおりて....
二老人」より 著者:国木田独歩
端《はし》がそれである。中古《ちゅうぶる》の建物だから、それほど見苦しくはない。上がり口の四畳半が玄関なり茶の間なり長火鉢《ながひばち》これに伴なう一式が並べて....
窮死」より 著者:国木田独歩
どこへ寝られる?」 見ればなるほど三畳敷の一間《ひとま》に名ばかりの板の間と、上がり口にようやく下駄《げた》を脱ぐだけの土間とがあるばかり、その三畳敷に寝床が....
籠釣瓶」より 著者:岡本綺堂
静かに籠釣瓶を抱いて死のうと、彼は八橋を切った刀の血糊《ちのり》をなめて、階子の上がり口に仁王立《におうだ》ちに突っ立って敵を待っていた。くるわの火消しがまっさ....
玉藻の前」より 著者:岡本綺堂
の渦巻く砂のなかに高くそびえていた。 宮殿は南にむかって建てられているらしく、上がり口には高い階段《きざはし》があって、階段の上にも下にも白い石だたみを敷きつ....
恐怖城」より 著者:佐左木俊郎
台はコンクリートでできていた。コンクリートの階段と手摺《てす》りとがあり、階段の上がり口には蘇鉄《そてつ》や寒菊や葉蘭《はらん》などの鉢が四つ五つ置いてあった。....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
をゆびさした。 残暑の強い朝であるから、そこらは明け放してあった。格子のなかの上がり口には新らしい葭戸が半分しめてあったが、台所と奥とのあいだの障子は取り払わ....
隣の嫁」より 著者:伊藤左千夫
年寄りたちが三、四人高笑いに話してる。今省作がはいったのを知らない。省作は庭場の上がり口へ回ってみると煤けて赤くなった障子へ火影が映って油紙を透かしたように赤濁....
人魂の一つの場合」より 著者:寺田寅彦
のすきから見える踊りの輪の運動を注視していた。ベランダの天井の電燈は消えていたが上がり口の両側の柱におのおの一つずつの軒燈がともり、対岸にはもちろん多数の電燈が....
沓掛より」より 著者:寺田寅彦
っているうちに次第に慣れて来た。朝早く起きてヴェランダへ出て見ると、もうちゃんと上がり口の階段の前へ来て待っている。人を見ると低い声でガーガーガーと三声か四声ぐ....
破片」より 著者:寺田寅彦
ォルスの電車の運転手が背広で、しかも切符切りの車掌などは一人もいず、乗客は勝手に上がり口の箱の中へかねて買い置きの白銅製の切符を投げ入れていたように記憶している....
電車と風呂」より 著者:寺田寅彦
式に緊張した顔も少ない。何と云って形容したらいいか分らないが、とにかく満員電車の上がり口につかまってぶら下がっているような一種の緊張が到る処に見出された。例えば....
犬と人と花」より 著者:小川未明
もわかりました。ただ、ものがいえないばかりでありました。 赤犬は、毎日、御堂の上がり口におとなしく腹ばいになって、和尚さまのあげるお経を熱心に聞いていたのであ....