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上向き
「上向き〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
上向きの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
葉子はぽんと高飛車《たかびしゃ》に出た。そしてにやりとしながらがっくりと顔を
上向きにはねて、床の間の一蝶《いっちょう》のひどい偽《まが》い物《もの》を見やっ....
「星座」より 著者:有島武郎
こわれかかった椅子に腰をかけて、いつでも疲れているような痩せしょびれた小さな顔を
上向き加減にして、股火鉢をしていた、干からびた唇を大事そうに結びながら。
煤《....
「世相」より 著者:織田作之助
客の尠いのを喜びながら汗を拭いたが、やがて天井に映写された星のほかには彼女の少し
上向きの低い鼻の頭も見えないくらい場内が真っ暗になると、この暗がりをもっけの倖い....
「省線電車の射撃手」より 著者:海野十三
にドサリと抛り出した。 戸浪三四郎がこれに代って進み出ると、少女の身体をソッと
上向きに寝かせた。人々の前に、少女の美しい死顔が始めてハッキリと現れたのだった。....
「蠅」より 著者:海野十三
からベトベトした粘液を垂らすと、遂にあえなくも、呼吸が絶えはてた。そしてゴロリと
上向きになると、ビクビクと宙に藻掻いていた六本の脚が、パンタグラフのような恰好に....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
れない結節の痕が、一つ生え際に止められているのを指し示して、
「なるほど、索状が
上向きにつけられている。そうしたら、こんな結節の一つ二つなんぞは、恐らく瑣事にも....
「少年探偵長」より 著者:海野十三
に仮りの繃帯をしてあげますからね」 そういって春木は、再び老人を抱きおこして、
上向きにした。 老人は口から、赤いものをはき出した。胸をやられているからなのだ....
「すり替え怪画」より 著者:海野十三
の垢ぬけのした婦人がついていて、手伝っていた。 怪画は、中央のテーブルの上に、
上向きに置かれた。面長白面の美男子烏啼は、待ちきれないといった顔で、婦人を促すの....
「かんかん虫」より 著者:有島武郎
タンチノープルから輸入する巻煙草の大箱を積み重ねた蔭に他の労働者から少し離れて、
上向きに寝て居る小男であった。何しろケルソン市だけでも五百人から居る所謂かんかん....
「浮かぶ飛行島」より 著者:海野十三
たが、中国人と日本人とでは、箸の使い方がちがう。中国人は箸の一番端を持って、掌を
上向きにして蕎麦をはさむ。日本人はそうしない。 それから最後にサイタ、サイタ、....
「棺桶の花嫁」より 著者:海野十三
揃えると、白足袋をはいた片足をオズオズ棺のなかに入れた。 「どんな風にしますの。
上向きに寝るんでしょ」 そういいながら、小山は長い二つの袂を両手でかかえ、そし....
「人体解剖を看るの記」より 著者:海野十三
屍体をグルッと廻すと、医師の持つ鑿もまた溝をグルッと廻ってゆく。そしてまた屍体が
上向きにされたとき、鑿の作業は一ととおり終了した。いよいよこれから、溝を入れたと....
「夢殿殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
な点に至るまで符合しているのだった。それをなお詳細に云うと、上膊部のものは、最初
上向きになった鋭い鉤様のものを打ち込んだらしく、創底が三|糎程の深さになっていて....
「審判」より 著者:カフカフランツ
くで、そこには切られた石があった。二人はKを地上に置き、その石にもたれさせ、頭を
上向きに寝かせた。彼らがいろいろ努力したにもかかわらず、またKが彼らの意にかなう....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
ら及び彼女らの髪の濃く眉の濃く髯の濃いことであろう。 紅葵は鮮紅で、蕊が黄で、
上向きがちに目を仰いで咲く。根から枝が別れて、そろって延びて、花は段々を成して幾....