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「上唇〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

上唇の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
」より 著者:芥川竜之介
禅智内供《ぜんちないぐ》の鼻と云えば、池《いけ》の尾《お》で知らない者はない。長さは五六寸あって上唇《うわくちびる》の上から顋《あご》の下まで下っている。形は元も先も同じように....
土曜夫人」より 著者:織田作之助
ましく映った。 その布の下に、茉莉の蝋色の顔があった。 近づいてみると、薄い上唇の真中に、剥げ残った口紅が暗い赤さに乾いていた。唇のまわりには、うぶ毛が濃か....
高野聖」より 著者:泉鏡花
ように畳《たた》まれそうな、年紀《とし》がそれでいて二十二三、口をあんぐりやった上唇《うわくちびる》で巻込めよう、鼻の低さ、出額《でびたい》。五分刈《ごぶがり》....
海異記」より 著者:泉鏡花
くってならないんだよ。」 としみじみいうのを、呆れた顔して、聞き澄ました、奴は上唇を舌で甞め、眦を下げて哄々とふき出し。 「馬鹿あ、馬鹿あいわねえもんだ。へ、....
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
台から垂れ下っていた。銀色の髪毛を無雑作に束ねて、黒い綾織の一重服を纏い、鼻先が上唇まで垂れ下って猶太式の人相をしているこの婦人は、顔をSの字なりに引ん歪め、実....
太平洋魔城」より 著者:海野十三
に黄いろい粉がなすりつけてあり、また顔中方々に膏薬を貼ってあった。ことに、鼻から上唇にかけて、大きな膏薬がはりつけてあり、そのせいかたいへん低い鼻声しか出せない....
獏鸚」より 著者:海野十三
ちの奇蹄目で獏科の動物だ。形は犀に似て、全身短毛をもって掩われ、尾は短く、鼻及び上唇は合して短き象鼻の如くサ。前肢に四|趾、後肢に三趾を有す。胴部より腰部にかけ....
化銀杏」より 著者:泉鏡花
服|扮装の紳士なり。頤細く、顔|円く、大きさ過ぎたる鼻の下に、賤しげなる八字髭の上唇を蔽わんばかり、濃く茂れるを貯えたるが、面との配合を過れり。眼はいと小さく、....
化鳥」より 著者:泉鏡花
にしよう、何に肖ているだろう、この赤い鼻の高いのに、さきの方が少し垂れさがって、上唇におっかぶさってる工合といったらない、魚より獣よりむしろ鳥の嘴によく肖ている....
貞操問答」より 著者:菊池寛
、メーヴェリンを塗っている。刷毛でつけた頬紅を、脱脂綿でまたほのぼのとふきとり、上唇の濃いルージュを、下唇に移して、油性のクリームで光らせる。圭子も惹きつけられ....
京のその頃」より 著者:上村松園
色に刷いてあるのを、小さな紅筆で溶いてつけたものだった。つけ方だって、この頃では上唇も下唇も一様に真ッ赤いけにつけてしまって、女だてらに生血でも啜ったようになっ....
四条通附近」より 著者:上村松園
店先に浮かぶ。 紅のつけ方にしても茶碗に刷いた玉虫色のを、小さな紅筆で溶いて、上唇は薄く、下唇を濃く玉虫色に彩ったもので、そこに何とも言えない風情が漂うのであ....
白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
二本鼻の下へ当てるのです。これは可笑しい。が、みつくちというんじゃありませんが、上唇の真中が、ちょっと歯茎を覗かせて反っているのを隠すためです。言語、容体、虫が....
審判」より 著者:カフカフランツ
しい二重|顎をながめて思った。彼らの顔の清潔さが、Kをむかつかせた。眼尻をなで、上唇をこすり、顎の皺をかくきれいな手も、はっきりと見えた。 Kがそれに気づいて....
ひとりすまう」より 著者:織田作之助
て心が温まると思われる様な感じを起させるのだったが、唯一つ、少し上にむくれている上唇が、可憐に見えた。彼女は時々眉の付根を引き寄せる癖があるので、ぼくはそれを「....